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もっとも有名な「あいさつ」(2021年4月2日配信『東京新聞』-「筆洗」)

 五輪の歴史の中で、もっとも有名な「あいさつ」かもしれない。1978年メキシコ大会、陸上競技男子200メートルの表彰台で、金メダルのトミー・スミスと銅のジョン・カルロスの両黒人選手が、母国米国の黒人差別に抗議するため、拳を上げた。「ブラックパワー・サリュート(あいさつ、敬礼)」と呼ばれる行動であった

キャプチャ

▼2人は黒い手袋をつけて、国旗から目を背けている。「黒人も人間である」という当然の主張を込めた行為であると、日本では報じられているが、当時の国際オリンピック委員会、ブランデージ会長は政治的主張に激怒した。母国でも批判が起きている。二人は選手村から追放された

キャプチャ

▼あの「あいさつ」が、米国内で許容されることになった。米国オリンピック・パラリンピック委員会は、東京五輪に向けた各競技の代表選考会に関して、人種差別反対や社会正義を訴える平和的な抗議には、制裁を科さないという指針を示した。国歌に起立せず膝をつくのも認めるそうだ

▼警察官の暴行を受けた黒人男性の死亡事件で、「黒人の命も大切だ」の抗議運動が盛り上がったのが、大きいという

▼許される行為の線引きなどで難しい問題が起きるかもしれないが、歴史的な決定であろう

▼指針は半世紀以上経て、変わらぬ差別との闘いがあることも物語っている。「あいさつ」を見る目が変わったかも問われよう。




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