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ジェンダー格差120位 外国人女性リーダーはこう見る(2021年4月3日配信『日本経済新聞』)

ジェニファー・ロジャーズ氏/ステファニー・ドゥルーズ氏

世界経済フォーラム(WEF)が3月31日に発表した世界各国の男女平等の度合いをランキングした「ジェンダー・ギャップ指数2021」。日本は156カ国中120位と前回(121位)並みにとどまり、主要7カ国(G7)では最下位だった。長らく女性活躍を掲げながら一向に浮上しない日本の取り組みを、外国人女性リーダーはどう見るのか。

能力評価、明確な仕組みを ジェニファー・ロジャーズ氏/在日米国商工会議所会頭

――欧米に比べて周回後れの現状をどう見ていますか。

「米国の大学で法律を学んだ後、33年前に東大に留学し、男女雇用機会均等法の大卒女子への影響について研究した。日本ならどんなキャリアを築けるのか興味があった。女性が総合職として働き、日本は大きく変わると期待した。その後の変化スピードはとても遅かったが、6年前から再び日本に滞在し、今度こそ変わると感じている」

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米ジョージタウン大ロー・センター法学博士課程修了。12年からアシュリオンジャパン・ホールディングス合同会社ゼネラル・カウンセル アジア。三井物産や川崎重工業、日産自動車の社外取締役を務める。弁護士。

「なぜなら私は今、3社で社外取締役を務めている。外国人女性である弁護士の私を選ぶのは簡単ではないはずだ。しかも3社とも女性取締役は複数いる。これはトップがダイバーシティー(多様性)の重要性を理解しているからだ。欧米と比べまだ割合は低いが、日本企業全体でも女性役員は増えた」

「多様性は快適ではない。それでも日本が取り組むのは経済的な理由が大きい。人材不足が深刻になる中、教育レベルの高い女性は貴重な人材だ。多様な意見を出しあってイノベーションを興さなければ、生産性も上がらない」

「ランキングが前回とほぼ変わっていないことは残念だ。格差を改善しなければ、日本は取り残される」

――変化のスピードを上げるため、欧州ではクオータ制の導入が進んでいます。

「米国でもカリフォルニア州が州内に拠点を置く上場企業に女性取締役を義務付けた。クオータ制には賛否あるが、数値目標があるから達成に向けロードマップをつくる。できないときは理由を考え、やり方を変える」

「日本では個人のスキルセット(専門知識・異質な経験)を評価する明確な仕組みが整っていない。能力をはかる前に性別や国籍、年齢で区別してしまう。これこそが意識的偏見(コンシャス・バイアス)そのもので、無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)以前の問題だ」

「例えば私は法律のプロであり、その上で女性、外国人だ。成果と連携した評価・昇進の仕組みがなければ、数値を達成しても"女性だから"といわれる。優秀な女性が正しく昇進し、ロールモデルとなることで若い人も『私もなりたい』と思うだろう」

「均等法や育児休業などの制度は整っているのに十分活用できていない。多様性が生きるのは誰もが自分のスキルセットで成功できたとき。制度はそのためにある」

(聞き手は編集委員 中村奈都子)

まず議論から始めよう ステファニー・ドゥルーズ氏/日興アセットマネジメント常務執行役員

――ジェンダー・ギャップ指数の結果をどうみますか

「このままでいいわけがない。6年前に来日して驚いたのは英国と異なり、働く女性の多くがキャリア構築を目指せていないことだ。もう一つの驚きは、子育て支援が乏しいこと。英国では企業内託児所が充実しているほか、ベビーシッターを複数の家庭が共同利用するなど社会全体で子育てを支えている」

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オックスフォード大卒、ハーバード大学大学院経営学修士号(MBA)取得。米モルガン・スタンレーなどを経て、2014年8月日興アセットマネジメント入社。国内外の商品開発や国際営業などの責任者を務める。

「私もシングルマザーとして3人の子を育てたが、多面的で適切な支援があったからこそキャリアを諦めずにすんだ。日本女性には多くの重荷がのしかかり、しばしば子供かキャリアの選択を迫られる。介護も含め家族のケアにあたる女性に対し、実用的な支援をもっと提供すべきだ」

――英国はどのように男女の格差を縮めてきましたか。

「英国社会では継続的に多くの議論があった。女性の役員比率向上を目指し、大手企業のトップが集まる30%クラブのような組織の活躍も大きい。学校も大きな役割を果たした。カリキュラムには男女格差を考える討論が組み込まれている。女性、男性としてこうすべき、という考えにとらわれないことを教える。教育は社会を変えるカギだ」

「英国の金融機関も女性が十分に活躍しているとはいえない。男女間の賃金格差もある。日本との違いは、これまでに多くの議論があったことだろう。その結果、実用的な支援が生まれた。例えば午後4時に退社しないといけない女性社員がいた場合、具体的にどう支援すべきか議論が始まる。そして実際に女性が使える支援につなげる」

――どうすれば指導的立場につく女性を増やせますか。

「役員や管理職をいかに増やすかという政策目標だけでなく、管理職になる前の一般社員に対する支援をもっと拡充することが必要だ。妊娠したが十分な支援が受けられない。紅一点の役員会で会話から外される。女性が経験するこうした問題に、政府だけでなく企業や社会も見て見ぬふりをせず、具体的に解決しなければならない」

「このまま在宅勤務が定着すれば会社にいる時間や性別ではなく、成果で人を評価できる。女性は柔軟な勤務時間のために戦い続けてきた。コロナ禍で多くの男性が一夜にして在宅勤務せざるをえなくなった。この状況は男女格差を縮めるうえで、日本にとってもチャンスだ」

(聞き手は高橋里奈)

女性活躍 取り組まない理由はない

日本の人口減少は深刻だ。すでに15~64歳の生産年齢人口は激減している。少子化は先進国共通の課題とはいえ、フランスやスウェーデンなど対策が一定の効果を上げている国はある。いずれもジェンダー・ギャップ指数ランキングの上位国だ。

人口が減っても、生産性を高めることである程度の経済力は維持できる。だが、日本生産性本部によると、日本の就業者1人当たりの労働生産性は8万1千㌦で、経済協力開発機構(OECD)の加盟国平均(10万㌦)を下回る。主要7カ国(G7)で最下位だ。アイスランドやフィンランドなどランキング上位3カ国にも遠く及ばない。

なぜ上位国は男女平等に取り組めるのか。それは当たり前のことであり、国として効果があると考えるからだ。人口減少の先頭集団にいる日本が女性活躍を進めない理由はない。
(編集委員 中村奈都子)




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