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気候変動、原発問題‥‥政府への異論、控えない  コムアイさんインタビュー(2021年4月3日配信『東京新聞』)

 新型コロナウイルス禍でインターネット上でのデモや署名が活発になる中、政治的な発言をする芸能人が増えている。その1人、音楽グループ「水曜日のカンパネラ」のボーカルでアーティストのコムアイさん(28)が本紙のインタビューに応じた。地球温暖化対策の強化を願いつつ、対策として原発再稼働を目指す政府には「気候変動に興味がある人に原発が必要だと思わせるのは、すごい罪だと思う」と異論を唱える。(福岡範行)

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気候変動問題や音楽活動について話す「水曜日のカンパネラ」のコムアイさん=東京都港区で(由木直子撮影)

 高校時代にNGO「ピースボート」に関わり、社会問題を学んだ。原発は建設や事故対策の費用が高く、使用済み核燃料の処分先が未定で、労働者が被ばくする恐れがあることに「本当に不可解。論理的じゃない気がする」と感じていた。

 2012年に音楽活動を始めて有名になると、間違いを発信してしまうことや仕事関係者への悪影響を恐れ、発言は控えてきた。

 しかし、先が見通せないコロナ禍で「100%正しい情報を誰かが持っているわけじゃないんだな」と感じ、考えが変わった。今は対話をより大切にする。「私の考えが違うと思う人は言ってくれるし、それによって新しい視点が加わる。それでいいじゃんって」

 こむあい 1992年生まれ、神奈川県出身。慶応大環境情報学部卒。2012年から音楽グループ「水曜日のカンパネラ」のボーカルとして活躍し、17年に日本武道館でコンサートをした。19年には屋久島をテーマにした楽曲を発表。インドの古典音楽やアイヌ民族の歌も学んでいる。



気候変動は「時間差殺人」「一番の緊急課題」 コムアイさんインタビュー詳報(2021年4月3日配信『東京新聞』)

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気候変動問題や音楽活動について話す水曜日のカンパネラのコムアイさん

 音楽グループ「水曜日のカンパネラ」のコムアイさん(28)は、地球温暖化による気候変動を「時間差殺人」と表現し、「一番の緊急課題」と訴える。危機感の理由や目指す社会の姿を聞いた。(福岡範行)

 ―なぜ、気候変動が一番の緊急課題なのですか。

 中学3年からNGOに通っていました。カンボジアの地雷を撤去する募金活動が最初。当時は難民や紛争、今まさに人によって人が殺されている状況の方が、緊急に思えていました。

 環境問題は目の前の人を殺してはいないんだけど、結果的に私たちがいろんな人を殺してしまうことにつながる。海面上昇で沈んでしまう町があったり、台風とか自然災害がどんどん増えたら大変。たくさんの生き物を絶滅に追いやってしまうこともありますし。

◆まずいのは、私たちが残酷なことをしてるって感じないところ

 まずいのは、私たちが残酷なことをしてるって感じないところ。何十年か100年後にはだいぶ影響が出ていると思うんですけど。時間差殺人みたいなことですかね。それは紛争と変わらないと思うし、私たちの想像力がすごく試されている。

 意識が変わったのは、一つのことが大きな理由で。(産業革命前からの世界の平均気温の上昇が)3.5℃でも4℃でも、ゆっくり到達して、緩い山みたいな感じで戻していけると思っていたんですね。でも、それが違う。あるところまで上がってしまったら、地球上のいろんな要素がお互いに作用して、歯止めがきかなくなる。人間が行動を変えようとも戻れないみたいな説が有力だって知って。

 環境問題って物心ついたときから言われてたし、新しい話じゃないと思うんですね。だからこそ危なくて。私たちは普通に生活できている感覚があるので、大丈夫だろうって感じちゃう。楽観視しようとしたら楽観的な情報が集まってくる時代。緊急だと思う人と思わない人の溝が深まってしまうとも感じています。

◆温室ガス実質ゼロ宣言なのに原発、ずっこけた

 ―2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする、と政府は昨年10月に宣言しました。どう感じましたか。

 ようやくっていう感じがして、めちゃくちゃうれしかったです。けど、どう達成していくかで、安全最優先で原発を進めるって言っていて、ずっこけたというか。福島の原発事故以降、原発を減らそうとする動きは増えていて、私は「自然だな」と思うんですけど。使用済み核燃料の問題が残っていたり、安全基準が高くなったのでコストも膨らんでいる。そういう状況で原発を続けるって、すっごく不可解だと思っていて。

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経済産業省の職員にエネルギー政策への思いを伝える2月の「市民のエネルギー気候会議」の参加者たち。中段の右がコムアイさん

 「原発は超クリーンなエネルギーですよ」っていう反発がきたときには、何を読んでそう思ったのかを聞いてみています。確固たる思いには、裏付ける理由があって、それを知ったら私も考えが変わるかもしれないし、自分も違うもの出してみたら相手の考えが変わるかもしれない。

◆アーティストとして、自分が一番好きなことに向かいたい

 ―もともと社会問題を発信したくてアーティストになったと聞きました。

 マネージャーに「音楽をやっている人がどんなこと考えてるかは、みんな耳を傾けてくれるから」って誘われました。その後、自分の発信力ができてからは、余計に発信できなくなったり。自分が仕事で関わっている全ての人が、害を被らないように考えなきゃいけないのかなとか考えてたりしたのかなあ。

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日本武道館でのライブで歌うコムアイさん=本人提供

 ―2017年の武道館コンサートを機に、「いま登っている成功者の山とは違う山を登ろう」と考えたとも聞きました。気持ちの変化があったんですか。

 武道館のときは、たぶん2合目くらいしか登っていないんですけど、後に待ち構えているステップみたいなものは見えていて。ドームでやったり、ずっと(音楽)チャートに入って、今までの曲も歌い続けて、新曲も出してって思ったときに、あんまり興味がわかなくなってしまったんですよね。山を2合目以上登る気がなくなっちゃったっていう感じでした。

 違う山でイメージしていたのは、音楽とか表現についてだけなんですけど、一番自分が好きなことに向かいたいなって思いました。

◆発言 「え、そうかな」って思っている人たちに伝えたい

 ―政治的な発言についての気持ちは、どうですか。

 コロナのころからすごく変わった気がします。いろんな方が発言されてるし。私自身は、すごく勉強不足だって思いました。NPOとかNGO、研究機関の人たちと、発信力がある人たちとで、普通に友だちとして行き来があると面白いのかな。講座とか勉強会が自然に生まれたりとか。

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屋久島をテーマにした楽曲をライブで歌うコムアイさん=本人提供

 (日本は)社会的な発言をしないことが、かっこいいとされているかもしれないですけど、私は、人間としての魅力はそっちの方が低いと思っていて。
 批判が来ることも、私にはないインパクトだから、うらやましいというか。発言って、「絶対そうだ」と思ってくれる人に届けたかったわけじゃないと思うんですよ。「え、そうかな、どうかな」って思っている人たちに伝えたかったはずだから、反発が起きても自然だと思うし。反発している人以上に、何にも言っていない人たちは、意見があったことで「そうなんだ」って思えた気がするから。

◆将来ぼーっと暮らせるように、今騒いだ方がいい

 ―2050年には、どんな社会になっていてほしいですか。

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2月に開かれた「市民のエネルギー気候会議」で、経済産業省の職員に向けてエネルギー政策への思いを語るコムアイさん

2月に開かれた「市民のエネルギー気候会議」で、経済産業省の職員に向けてエネルギー政策への思いを語るコムアイさん

 みんなが、ぼーっと暮らせる感じに整ったらって思い描いていますね。東京電力の電気選んでも原発で被ばく労働する人がいなかったり、大型の太陽光発電所で森が破壊されていたりもしないように、最低限のレベルが変わってほしい。

 そのために今は騒いだ方がいいなって。一人一人が企業や政府に署名や手紙を送ることが結果的に大きな効果を生む。「この商品すごく好きなんだけど、ここはすごく気に入らないから、良くしてほしい」みたいな。森林破壊されて作られている食物とか。
 「これが嫌でやめます」って伝えるのも、意味があると思います。それって日本人は苦手で、私もすっごく苦手。お互いが出し合っているカード(意見や考え)を否定しても、相手の人格批判になってはいけない。そういう教育がもっとあったらいいな。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◆若者に危機感、日本でも

 コムアイさんが気候変動問題を重視し始めたきっかけの一つは、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(18)が2019年9月、国連で、各国の対策の不十分さを指摘した演説だった。グレタさんに共感する若者らの活動「Fridays For Future(未来のための金曜日、FFF)」は日本各地にも広がっている。

 日本では、温室効果ガスの排出実質ゼロを目指す政府の昨秋の宣言を受け、官民の取り組みの話題が増えた。FFF鹿児島メンバーの大学生中村涼夏さん(19)は「脱炭素という言葉が会話で通じるようになったのは進歩」と語る。

 FFFが3月19日に行った「世界気候アクション」では、チラシ配布などに協力する飲食店や衣料品店もあり、変化の兆しはあるが、路上スピーチの際には素通りする人が多く、社会の大きな変化は感じられなかったという。FFF京都の大学生中野一登さん(19)は、「すぐに行動を変えなきゃという動きにはなっていない」と危機感を口にした。




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