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<かながわ未来人>聴覚障害者有志のNPO法人 「インフォメーションギャップバスター」理事長・伊藤芳浩(いとう・よしひろ)さん(50)(2021年4月5日配信『東京新聞』)

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 生まれた時から耳が聞こえず、手話を第一言語とする「ろう者」の1人だ。日立製作所で働くかたわら、社会のコミュニケーション障壁を取り除こうと、聴覚障害がある有志らで2010年、NPO法人「インフォメーションギャップバスター」(横浜市、IGB)を立ち上げた。

 コロナ禍では新たな困難に直面した。みんながマスクを着けるようになり、会話が分からなくなった。「話す人の口の形も手話の一部。表情や雰囲気で察することも、難しくなった」と残念に思う。店員の言葉が分からなくて要らないポリ袋が付いたり、金額が分からなかったりと、買い物で困ることも増えた。

 行政情報を得る必要も増したことから昨春、各地の仲間と手分けして都道府県会見を調べたところ、約6割の自治体で手話通訳がついていなかった。他の団体とも働き掛けて、全ての都道府県会見で手話通訳がつくように。透明な材料を使ったマスクの作り方もIGBのホームページで公開し、昨年12月には自宅のある川崎市の市役所を訪ね、透明マスクをPRした。

 知られていないギャップは他にもある。先日、自らのブログで、音楽に合わせて手話が振り付けとして扱われる「手話歌」への「もやもや」を表明した。「手話歌は、手話への関心を高める良い機会」と思う一方、音楽に手話を合わせるために、意味が通らなくなることも多い。「手話は日本語とは文法が異なる別の言語。音楽が聴ける人だけが楽しめるパフォーマンスには、しないでほしい」と願う。

 1月にはIGBで聴覚障害者の家族を招いたシンポジウムを開催。障害のある親の話し方を友達にけなされたり、きょうだいを支えようと自分の心を抑えたりといったエピソードが語られた。「通訳役を担う家族の苦悩については、あまり注目されてこなかった」。このシンポをきっかけに3月、家事や介護を担う18歳未満の「ヤングケアラー」の支援施策に、聴覚障害のある家族がいる子を対象とするよう、厚生労働省に要請した。

 外国人や高齢者。コミュニケーションが困難な人は、障害者に限らない。「手話や文字、音声など、多様な手段が受け入れられる社会になってほしい。私たちの提言で対話がもっと活性化し、社会の発展にもつながることが願いです」 (安藤恭子)
 (取材は主にメールと、音声を認識して文字に読み取るアプリを通じて行いました)

<インフォメーションギャップバスター> 聴覚障害の当事者やコミュニケーションの困難の問題に関心のある約60人が参加。障害のある人が手話通訳者を介して電話できる「電話リレーサービス」の公的化や、難しい医療用語にも対応する病院内手話通訳の推進を求めて活動している。




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