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無人駅、全国の5割に迫る 障害者「介助に不安」提訴も(2021年4月10日配信『日本経済新聞』)

駅員不在の「無人駅」が増え、全国の駅の半数に迫ろうとしている。人口減に伴う鉄道会社の経営効率化が背景にあり、利用者の多い都市部の駅も無縁ではない。介助が必要な障害者などからは利便性低下を懸念する声が上がり、国も安全確保に向けた議論を本格化させている。(久永純也)

「線路が全国各地につながっているように、駅員を残してほしい気持ちも全国各地一つにつながっています」。今年2月、大分市の車椅子利用者がJR九州を相手に起こした損害賠償訴訟の初弁論。原告の一人は大分地裁の証言台で訴えた。

提訴のきっかけは2018年にJRが一部の駅で行った無人化。原告側は駅員が不在となったことで利用時の介助にJRと事前調整が必要になり、不利益を被っていると主張した。原告の五反田法行さん(36)は「ふと電車を使いたいと思ったときに使える保証がなくなった」と訴えた。

JR九州は無人化した駅にカメラやインターホンを設置し、遠隔管理する「スマートサポートステーション」(SSS)という仕組みを導入。介助が必要な利用者から事前に連絡があれば社員を駅に派遣している。

だが原告側代理人の徳田靖之弁護士は「SSSでは線路に転落した人の発見が遅れるなど、事故対応が不十分になる恐れがある」と指摘する。

国土交通省によると、19年度に「ホームから転落して接触」「ホーム上で接触」が原因となった人身事故死傷者は160人。駅員不在に不安を抱く人は少なくない。

無人駅は増加の一途をたどっている。国交省によると、全国の駅に占める無人駅の割合は19年度は48.2%。1日の利用者が100人以下の駅は96%、3000人超の駅も7.5%が無人だった。徳田弁護士は「無人化は利用者の多い駅でも進んでいる。障害がある人だけの問題ではない」と提訴の動機を代弁する。

無人駅が5割を超すJR九州の担当者は「少子高齢化による利用者減や人手不足に加え、新型コロナウイルスの影響で経営環境が厳しい。鉄道網の維持には効率化は避けられない」と説明する。

だが、障害者にとって駅にJR社員の派遣を求めるハードルは高い。同社には「車椅子の介助は訓練を受けた社員のみ」との規定があることが理由の一つだ。

駅の管理が町に委託されているJR川南駅(宮崎県川南町)では町観光協会職員が慣習的に事前連絡なしで車椅子利用者の介助を担ってきたが、JRが昨年5月、規定に沿った対応を改めて要請。約30キロ離れた宮崎市から1時間かけて社員が駆けつける形になった。

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「門が閉じられたように感じた」。幼い頃から車椅子で駅を利用してきた今井総二郎さん(18)は同6月、対応の改善を求める署名活動を開始し、県内外から約8200人分を集めた。協議の末、同11月に安全教育を受けた町職員による介助が実現。事前予約は必要だが、同社が社員以外の介助を認めた初の事例となった。

障害者支援のNPO法人の一員として4月から電車通勤を始めた今井さんは「早く電車通勤に慣れたい」。同県門川町のJR門川駅でも4月から町観光協会職員らの介助が始まるなど同様の試みは広がりつつある。

無人駅を巡っては国交省が昨年11月、障害者団体や鉄道事業者との意見交換会を設置。今夏をメドに事業者が取り組むべき対策をガイドラインにまとめる方針だ。

帝京大の浅井康次教授は「交通弱者の利便性確保には、事業者だけでなく自治体や他の利用者らの多角的な支援が欠かせない」としている。

東京も1割無人 鉄道会社、利便性向上急ぐ

国土交通省によると、2019年度に人口が最も多い東京都の無人駅の割合は9.9%。同2位の神奈川県と同3位の大阪府はそれぞれ16%に上った。

有人駅でも一部の時間帯だけ無人になる駅は少なくない。1日5万人以上が使うJR国立駅(東京都国立市)は始発から午前6時20分まで、埼京線も一部の駅で1日数時間、駅員がいない状態が続く。

鉄道各社は利便性向上に知恵を絞る。東武鉄道は無人の時間帯がある駅で駅係員の滞在時間を掲示。名古屋鉄道はモニター付きの係員呼び出し装置の設置を検討している。




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Author:gogotamu2019
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