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超ダイバーシティ芸術祭で上演「二度と体験できない」意欲作 多様な性体験が切り口(2021年4月11日配信『AERA.com』)

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「シニア×性」をテーマにした演劇作品True Colors DIALOGUE「私がこれまでに体験したセックスのすべて」4月8~11日は青山スパイラルホールで上演予定(写真:日本財団提供)

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青木透(あおき・とおる)/1983年生まれ、日本財団True Colors Festivalプロデューサーを務める(写真:日本財団提供)

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入江陽(いりえ・よう)/1987年生まれ。シンガー・ソングライター。舞台「私がこれまでに体験したセックスのすべて」MCを務める(写真:日本財団提供)

「私がこれまでに体験したセックスのすべて」が4月、東京・青山で上演される。「True Colors Festival 超ダイバーシティ芸術祭」の一環だ。AERA 2021年4月12日号に掲載された記事を紹介する。

*  *  *

 カナダ出身の劇作家ダレン・オドネル氏演出の舞台に上がるのは、公募で集められた60歳以上で性的マイノリティーや障害者を含む5人。彼らとダレン氏は、経験してきた性体験をもとに群像劇を練り上げた。内容は「口外禁止」だ。舞台でMCを務める入江陽さん(33)と、芸術祭主催者の日本財団・青木透さん(37)に聞いた。

■性体験切り口に語る

入江陽(以下、入江):MCの依頼をいただいた時、「高齢者の性」というテーマを率直に面白く感じました。普段、似た年代、価値観の人たちと一緒にいることが多い。高齢者や海外の方と関われること自体、僕にとっては既に「ダイバーシティ」です。

青木透(以下、青木):ダレン氏を中心とするアーティスト集団「ママリアン・ダイビング・リフレックス」は、性体験を切り口に、高齢者が人生を語る演目を世界各地で行っています。さまざまな経験を持つ人生の先輩たちは、社会通念の在り方や変化に対して独自の視点を持つ方々ばかり。性体験を切り口に、その視点が浮き彫りになっていきます。

——ダレン氏と出演者は、1カ月間のワークショップを通じて脚本を練り上げた。

入江:僕も参加し、話し合いを重ねながら、センシティブな記憶を出し合ってきました。心を柔らかくするうえで、僕自身の性体験も話しました。面白かったのは、虚構と事実の狭間のグレーな部分が、ダレン氏によって解きほぐされていったこと。出演者には「こう見られたい」という思いが働きがちですが、そこを見抜かれてしまうんです。

——自らのセックスについて語るのは、老若男女、性的指向を問わず羞恥を伴う。

入江:皆が自分の性体験を他人に話し始めると、不思議と自分も語れるようになるんです。世代や性的指向、ジェンダーが多彩な面々が、「あの人がここまで言ってくれたし、僕も」というように、「対話」を通じて羞恥心がなくなっていきました。

 ダレン氏は、深刻になり過ぎず、悲惨なエピソードも笑い飛ばし、「腫物」にガンガン触っていく(笑)。触ったり触られたりしているうちに、麻痺し、自分の中の「膿」が取れていく感情を覚えました。人の記憶は意外と定まっていないことも知った。同じ記憶でも、その日の気分によって腹が立ったり、良い思い出になったり。これも「対話」の面白さです。生き物のように変わっていく記憶が脚本に生かされる。

■記憶や感情を感じて


青木:コロナ禍で「対話」の形式が変わったと実感しています。オンライン会議では目的以外の「対話」がしにくくなってしまった。社会で独りになりやすい人々はなおさら、何げない話し合いが大切だと思います。多様な属性の人々に対し、心の壁を取り払っていくためには、単に「知る」だけではなく、実際に出会う「対話」が有効だと思います。観客は、聴き役に回るだけでなく、ときに舞台から質問も飛んでくるために、「対話」の相手になることも求められます。

入江:今回のような「二度と体験できない作品」は貴重です。脳内で再生されていく彼らの記憶や感情を、皆さんにもダイレクトに感じてほしい。

青木:ひとりで悩む人、悶々と何かを抱える人にぜひ観ていただきたい。心をふっと軽くしてもらう契機になればと思っています。

(ライター・加賀直樹)

※AERA 2021年4月12日号




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