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変異ウイルス 感染急拡大 “重症化スピード速い”(2021年4月14日配信『NHKニュース』)

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新型コロナウイルスのうち、イギリスなどで見つかった「N501Y」と呼ばれる変異が起こったウイルスは、感染力が従来のものより強いとされ、国内で急速に広がっています。

この変異ウイルスの広がりについて各自治体が調査を進めた結果、感染者に占める割合が大きく上昇していることがわかりました。

医療現場からは「従来のものと比べ重症化スピードが速い」「基礎疾患のない40代や50代の患者が重症化する場合もある」などの報告も寄せられているといいます。

各地の現状や今後に関する専門家の見解などをまとめました。

東京都

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東京都内では、今月11日までの1週間に都の研究機関と民間の検査機関で新型コロナウイルスに感染した人合わせて510人の検体を調査して「N501Y」の変異があるウイルスかどうか調べました。

その結果、25.5%にあたる130人がこの変異ウイルスと確認されました。

この割合は先月28日までの1週間は3.1%でしたが、今月4日までの週は16%と急拡大し、今回はさらに10ポイント近く上昇しています。

2週間で割合がおよそ8倍に増えていて、急速に感染が広がっています。

都内では12日は61人、13日は80人が確認され、1日に発表される人数としては2日連続で最多となりました。また14日も新たに72人の感染が確認されました。

12日までに都内で確認された336人のうち、およそ85%にあたる286人は先月29日以降に確認されていて、感染者数の推移を見ても都内で変異ウイルスがこの2週間で広がっていることがうかがえます。

東京都 小池知事「明らかに猛威 テレワーク徹底を」

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東京都の小池知事は、都庁で記者団に対し「明らかに猛威を振るっているということを認識しながら対策をしっかりと打っていきたい」と述べ、変異ウイルスの感染が広がっているという認識を示しました。

そのうえで「きょうも雨だが、通勤や通学で駅などがかなり混んでいたと聞いている。再びテレワークを徹底してもらうことがこの嫌な期間を短くおさえられる。一人一人の判断、決断が結局、総体としての対策につながる」と述べ、対策のさらなる徹底を呼びかけました。

また14日夜、記者団に対し「若い世代に変異ウイルスの拡大が見られる。活動的な若い世代への広がりがさらなる感染の広がりにつながることから、特に大都市圏との往来は控え、都と県の境を越えた外出も自粛をお願いしたい。人の流れを抑えるための重要な局面だ」と述べました。

大阪府

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大阪府では今月3日までの1週間に感染者304人の検体を調査した結果、73.7%にあたる224人が変異ウイルスと確認されました。

先月13日までの1週間は41.7%、先月20日までの1週間は48.6%先月27日までの1週間は65%と変異ウイルスの割合が高まっています。

神奈川県

神奈川県では、今月1日から11日までに感染者338人の検体を調査し、30.2%にあたる102人が変異ウイルスと確認されました。

2月全体では5%余りだったということで、短い間に急増していることがわかります。

兵庫県

兵庫県では、先月28日までの1週間に感染者260人の検体を調査し、81.2%にあたる211人が変異ウイルスと確認されました。
調査結果「全体の正確な状況示すものではない」も各自治体は警戒

これらの調査は、すべての新規感染者に行われているわけではなく、変異ウイルス感染者の濃厚接触者が比較的多く含まれる地域もあり、必ずしも全体の正確な状況を示すものではないということですが、割合は上昇し続けていて、各自治体は警戒を強めています。

また調査は「N501Y」と呼ばれる変異が対象で「E484K」と呼ばれる変異は含まれません。

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大阪 兵庫は5月中にはほぼすべてが変異ウイルスに置き換わるか

イギリスで最初に確認された変異ウイルスの特徴の1つは感染力の強さです。

先週7日に厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますとこのタイプの変異ウイルスについて国立感染症研究所が国内での感染力の強さを計算したところ、感染の広がりやすさを示す「実効再生産数」が従来のウイルスより平均で1.32倍、高くなっていたということです。

このためこの変異ウイルスが広がり始めた地域ではこれまでのウイルスから急速に変異ウイルスに置き換わっているとみられています。

国立感染症研究所の今月6日時点の推定では大阪府と兵庫県でことし2月から変異ウイルスが急増し始め、3月中には半数以上が変異ウイルスに置き換わったとみられています。

その後、4月のはじめの時点では全体のおよそ70%と推定されるということです。

この状況が続くと5月中にはほぼすべてが変異ウイルスに置き換わるとみられています。

また、東京都、神奈川県、千葉県の1都2県では、3月中旬以降、このタイプの変異ウイルスが増え始めていますが、4月はじめの時点ではおよそ10%と推定されています。

ただ、その後、急速に増えていく可能性が指摘されていて、この状況が続くと5月には75%を超え、さらに増えるおそれがあると推定されています。

WHOによりますとこうした傾向は海外のすでに変異ウイルスが広がっている国でも確認されています。

イギリスでは去年10月以降、変異ウイルスが急増し、ことし2月から3月ごろにはほぼすべてが変異ウイルスに置き換わったとみられています。

また、イギリスと同じく「N501Y」という感染力が高まる変異のあるウイルスが広がった南アフリカでは去年10月ごろから変異ウイルスが急増し、ことし1月から2月にかけてほぼすべてが変異ウイルスになったとみられるということです。


病院から「重症化スピード 従来のウイルスより速い」との報告も

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新型コロナの変異ウイルスの感染が広がる中、埼玉県の病院では今月に入って重症患者が増加し、発症から重症化までの期間が従来は1週間程度だったのが4、5日で重症化するケースも出てきているということです。

コロナ病棟の医師は、変異ウイルスは重症化のスピードが従来より速いという報告もあり危機感を募らせています。

埼玉県川越市の埼玉医科大学総合医療センターでは、第3波で急増した重症患者は減少していましたが、4月に入って再び増加しているということです。

病院では、重症患者を5人ほど受け入れられるところ、先週は3人が人工呼吸器を装着するなど、ほとんどの病床が埋まる日が相次ぎ、第3波の初期と同じような状況だということです。

基礎疾患ない40代や50代の患者が重症化するケースも

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また、病院によりますと、発症から重症化するまでの期間は従来は7日から9日でしたが、現在は4、5日で重症化するケースもみられるということです。

さらに、今月入院したコロナ患者の一部について検査したところ、変異ウイルスの感染は1人だけでしたが、この病院によりますと、変異ウイルスは肺炎の症状の進行が早く、基礎疾患がない40代や50代の患者でも重症化するケースがみられるという報告もあり、調べきれていない患者についても検査する必要があるとしています。

コロナ病棟を取りしきる、感染症科の岡秀昭教授は「すでに第4波の入り口にあるのだと思う。関西の医師からは変異株は『ウイルスが変わったと実感するほど症状の進行ペースが違う』と聞いている。感染性も強いし、変異株に置き換わる可能性も高い。人の往来が増えれば、変異ウイルスが首都圏で広がるのは時間の問題で、戦々恐々としている」と危機感を募らせています。

専門家「これまでと別のウイルス 流行していると捉えてもよい」

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イギリスで最初に見つかった「N501Y」と呼ばれる変異があるウイルスが、関西などで急速に広がっていることについて、感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎 特任教授は「感染力が高いことは確かで、関西では従来のウイルスからほぼ変異ウイルスに置き換わっている。この波は東京などの首都圏や、それ以外の地域にも遅かれ早かれ押し寄せてくることになる。海外での広がりかたを見ても完全に避けることは難しく、いかに拡大を遅らせるかを考えるしかない」と指摘しました。

さらに「関西では40代や50代など比較的若い世代でも重症化するケースが増えてきているほか、発症してから重症化するまでの時間が短くなっているという報告もある。医療体制に与える影響も大きくなるおそれがあり、非常に憂慮しなければならない事態だ。これまでとは別のウイルスが流行していると捉えてもよく、今まで以上に厳しく対策を心がけてもらいたい。国や行政は、ウイルスの広がりのスピードを踏まえて、緊急事態宣言への切り替えなど対策を強化する判断をこれまでより迅速に行ってほしい」と話しています。

また、東京などで「N501Y」の変異はないものの、免疫の攻撃から逃れる「E484K」と呼ばれる変異があるウイルスがまとまって確認されていることについて「感染力は従来のウイルスから変化がないと思われるが、ワクチンの効果が低下するおそれや以前に感染した人でも再び感染する可能性がある。

ただ、対策の優先順位としては急速に広がっている『N501Y』の変異があるイギリスで見つかったタイプのウイルスを抑えることが先だ」と話しています。

全国ではこの1週間で1525人から検出 約1.7倍に増加

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厚生労働省によりますと、13日までの1週間に45の都道府県で合わせて1525人の検体から変異ウイルスが検出されたということです。

▽最も多かったのが東京都で319人、
次いで
▽大阪府で273人、
▽京都府で76人、
▽愛知県で67人、
▽神奈川県で63人、
▽埼玉県で61人、
▽福岡県で60人、
▽岡山県で45人、
▽千葉県で43人、
▽茨城県で42人、
▽香川県で41人、
▽三重県で39人
▽富山県と滋賀県で37人、
▽愛媛県で36人、
▽岐阜県と兵庫県で28人、
▽福井県で27人、
▽長野県で22人、
▽徳島県で21人、
▽広島県で17人、
▽静岡県で16人、
▽北海道で13人、
▽奈良県で12人、
▽高知県と熊本県、それに大分県で10人、
▽山口県で9人、
▽秋田県と栃木県で8人、
▽群馬県で7人、
▽宮崎県で6人、
▽和歌山県と鹿児島県、佐賀県で5人、
▽島根県で4人、
▽新潟県と石川県で3人、
▽岩手県と山梨県で2人、
▽長崎県、沖縄県、青森県、鳥取県と宮城県がそれぞれ1人です。

青森県、岩手県、それに宮崎県では初めて変異ウイルスの感染が確認されました。

これまでに、自治体の検査で変異ウイルスへの感染が確認された人は合わせて3564人となり、この1週間でおよそ1.7倍に増加しています。

また、国立感染症研究所などで変異ウイルスの遺伝子が確認されたのは、これまでに全国で合わせて1141人で、このうち94%の人からイギリスで最初に見つかったウイルスが検出されているということです。

変異ウイルス 4月段階で国内で広がるのは主に2つのタイプ

新型コロナウイルスの変異ウイルスは、遺伝情報のどの部分に変異が起こっているかなどにより細かく分類されていますが、2021年4月の段階では国内で主に2つのタイプの変異ウイルスの感染が広がっています。

「N501Y」と呼ばれる変異があるウイルスは

大阪府や兵庫県で多く確認されている変異ウイルスは去年12月、イギリスで最初に見つかり、その後、世界に広がったタイプです。

このウイルスには「スパイクたんぱく質」と呼ばれる部分に「N501Y」と呼ばれる変異があり、感染力が強くなっています。

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これは「スパイクたんぱく質」の501番目のアミノ酸がアスパラギン(略号N)からチロシン(略号Y)に置き換わっているという意味です。

この「N501Y」の変異は南アフリカで見つかった変異ウイルスやブラジルで広がった変異ウイルスにも共通してあることが分かっています。

WHOのまとめによりますと、イギリスで見つかった変異ウイルスは従来のウイルスに比べて、感染力は36%から75%高くなっていたということです。

また、国内でも国立感染症研究所がことし2月1日から3月22日の事例を分析したところ、感染の広がりやすさを表す数値が従来のウイルスより平均で1.32倍、高くなっているという計算結果となりました。

国立感染症研究所ではこの変異ウイルスが広がれば従来のウイルスに対するのと同じ対策では、これまで以上の感染者数の増加につながり、医療提供体制や公衆衛生対策の体制を急速に圧迫するおそれがあると指摘しています。

このため国は「N501Y」の変異を持ったウイルスを監視対象として全国でスクリーニング検査を行うなど警戒を強めています。

「E484K」と呼ばれる変異があるウイルスは

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一方、先月、東京都などで感染の広がりが指摘されたのが「N501Y」の変異ではなく「E484K」と呼ばれる別の変異があるウイルスです。

これは「スパイクたんぱく質」の484番目のアミノ酸がグルタミン酸(略号E)からリシン(略号K)に置き換わっているという意味です。
こちらの変異ウイルスは感染力が著しく高くなったり、症状が強くなったりするなどの性質の変化は報告されていないということです。

ただ、この変異があると抗体の攻撃から逃れる性質を持つと考えられていて、免疫やワクチンの効果を低下されるおそれが指摘されています。

国立感染症研究所はこの変異があるウイルスが現在、国内で使われているファイザー社製のワクチンの効果を完全に無効化するとは考えにくいとしています。

ただ、再感染のリスクが上がったり、ワクチンの有効性が低下したりする可能性はあるということで、「公衆衛生的なリスクは高くないが、中長期に対処していくべきリスク」だとしています

南アフリカとブラジルで広がった変異ウイルス

さらに、国内での報告例は少ないものの「N501Y」と「E484K」の両方の変異があるウイルスもあります。

南アフリカで最初に確認された変異ウイルスやブラジルで広がった変異ウイルス、それにフィリピンで見つかった変異ウイルスです。

これらの3つの変異ウイルスは感染しやすくなったり、ワクチンの効果が下がるおそれがあったりするなど、両方の変異の特徴があるとみられ日本でも感染が広がらないよう警戒されています。

「若い世代に変異ウイルスの拡大が見られる。活動的な若い世代への広がりがさらなる感染の広がりにつながることから、特に大都市圏との往来は控え、都と県の境を越えた外出も自粛をお願いしたい。人の流れを抑えるための重要な局面だ」と述べました。




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