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愛媛・女子大生誤認逮捕 手記公開で分かったずさん捜査の中身(2019年8月13日配信『産経新聞』)

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愛媛県議会の委員会で謝罪する松下整県警本部長(中央)ら=松山市

 松山市の20代の女子大生が身に覚えのない窃盗事件で愛媛県警に逮捕される誤認逮捕があった。女子大生は「不安、恐怖、怒り、屈辱といった感情が常に襲い、ぴったりと当てはまる言葉が見つからないほど耐え難いものだった」などとする手記を公表、県警本部長は謝罪に追い込まれた。県警はなぜ誤認逮捕をしたのか。そこには「思い込みによる捜査」というずさんな状況があったようだ。

一貫して否認も逮捕

 「誠に申し訳なく、心よりおわび申し上げます」

 8月6日、愛媛県議会の委員会で、松下整(まつした・ひとし)県警本部長が頭を下げた。

 事件は今年1月9日未明に市内で発生。タクシーの運転手が何者かに現金5万円とセカンドバッグを盗まれた。容疑者として浮上したのはタクシーのドライブレコーダーに写っていた女。女はタクシーから降りた後、とあるアパートに入っていった。女子大生が住むアパートだった。

 女子大生は5月27日、自宅に置かれた県警松山東署捜査員の手紙を見つけ、まったく身に覚えはないが、署に出向いた。

 事情聴取が行われたが、女子大生はドライブレコーダーの画像と顔立ちが似ていたほか、事件当日にタクシーに乗っていないことを証明することができなかった。女子大生はドラレコの画像とは別人だと訴えたが、容疑者のような扱いを受けたという。

 6月4日、再度の呼び出しを受けた女子大生は、顔の3D画像撮影やポリグラフ検査を受けた。その時の心境を手記にこうつづっている。

 「体力的にも精神的にもつらかったですが、素直に応じました。そうすることで身の潔白を証明できると信じていたからです」

 だが7月8日、捜査員が自宅にやってきて任意同行を求められ、そのまま窃盗容疑で逮捕された。

「早く認めた方がいいよ」

 「手錠をかけられたときのショックは、忘れたいのに忘れることができず、今でもつらい」と手記で述べた女子大生。弁護人となった安藤陽介弁護士は「任意の段階でも『就職も決まっているんだろう』『早く認めた方がいいよ』と執拗(しつよう)に自白を求めるような発言があった」と違法性を指摘する。

 だが2日後の10日、事態が急転する。松山簡裁は勾留請求を却下し、女子大生は釈放されたのだ。そして26日、「嫌疑なし」として女子大生は不起訴処分となった。

 捜査関係者によると、逮捕後、早い段階で女子大生ではない新たな容疑者が浮上したのだという。誤認逮捕が明らかになり、松山東署や松山地検の幹部は不起訴となる直前の22日、安藤弁護士の事務所を訪れ、女子大生も同席の下、誤認逮捕に至った経緯を説明した。

県警本部長「決めつけ捜査があった」

 「本当に申し訳ないことをした。県警として深く反省している。再発防止を図りたい」。松下本部長は産経新聞の取材に応じ、改めて女子大生に謝罪した。

 では誤認逮捕はなぜ起きたのか。ドライブレコーダーの画像が女性と似ていたことや、タクシーを降りた女がアパートに入った映像があったことで、捜査員が「思い込みをしてしまった」と松下本部長は捜査の稚拙さを認める。

 さらに、女子大生が否認をしていることに対する容疑の裏付け捜査や、周辺捜査で十分な証拠を収集することを怠ったと言及。
「女性が嘘をついていると決めつけ、強制捜査をすれば、すぐに自供するだろうと思ってしまった。もっと多角的に捜査したり、上司に相談したりしていれば、誤認逮捕は防げた」とした。

 取り調べで威圧的な態度や、自白を強要するような言動があったかどうかについても「県警としては適正な取り調べだったという結論は出していない」とした松下本部長。県警はなぜ誤認逮捕があったのか調査を進め、調査結果と再発防止策を県議会で報告するとしている。

 愛媛県警に誤認逮捕された女子大生の手記の要約は次の通り。

「二重人格?」「罪と向き合え」と言われた

 今年1月に松山市内で発生したタクシー内での窃盗事件で私が誤認逮捕された件について、警察や検察からの発表のみでは伝わらない部分も多々あるかと思い、今回コメントを発表させていただきます。

 この事件の捜査では、決して適切とはいえない対応を警察から繰り返されました。そのため私は、取り調べが終わるたび、すぐに全てを日記に付けて記録してきました。

 ドライブレコーダーに写っている女と私が似ていたことなど悪い偶然が重なり、私が容疑者になってしまうことは仕方がないのかもしれません。しかし、私ははじめから一貫して容疑を否認し、その女と私が別人であることを何度も訴えてきました。にもかかわらず、捜査に関わった刑事全員が私の話に耳を傾けることはありませんでした。

 取調官は、私が「本当の犯人を捕まえてください。こんなの何の解決にもならない」と言えば、「犯人なら目の前にいるけど」と言い、はじめから私を犯人だと決めつけていました。他にも「やってないことを証明できないよね?」「タクシーに乗った記憶ないの? 二重人格?」「罪と向き合え」など、耳を疑うようなことを次から次へといわれました。

「ごめんなさいで済む話」とも

 また、自白を強要するかのような言葉を執拗(しつよう)にいわれました。

 「就職も決まってるなら大事(おおごと)にしたくないよね?」

 「ごめんなさいをすれば済む話」

 「懲役刑とか罰金刑とか人それぞれだけど早く認めたほうがいいよ」

 「認めないからどんどん悪い方へ行ってるよ」

 「今の状況は自分が認めないからこうなってるんだ」

 挙げればきりがありません。逮捕された後は、弁護人の助言で警察の取り調べに対しては黙秘していたのですが、「弁護士に言われたから黙秘するのではなく自らの意思で話せ」と言われました。

 本当に悔しかったです。自分たちが正しいと過信している警察には何を言っても無駄だと気付き、ただひたすら真犯人が出てくることを祈るしかありませんでした。

 そもそも、私は取り調べの他にも指紋採取やポリグラフ検査、3D画像の撮影など、全ての任意捜査に素直に応じてきました。朝の10時ごろから夕方の5時ごろまでかかることもあり、体力的にも精神的にもつらかったですが、素直に応じました。そうすることで身の潔白を証明できると信じていたからです。

 しかし、最後の取り調べから1カ月以上たってから突然家宅捜索に入られ、そのまま逮捕されてしまいました。幸いにして、勾留請求は認められず釈放されましたが、逮捕直後には、もし勾留されたら取り調べに耐え切れず、やっていないことを認めてしまうかもしれないという不安な気持ちがあったのも事実です。

直接の謝罪いまだなく

 誤認逮捕であることが分かった後、警察からは「真相の解明に必要な逮捕だった」と説明を受けましたが、到底納得できるものではありません。

 3D画像はきちんと解析したのか、ポリグラフ検査の結果はどうだったのかという私からの質問に対しては、はっきりした回答を得ることはできませんでした。担当刑事からの直接の謝罪はいまだにありません。手錠をかけられたときのショックは忘れたいのに忘れることができず、今でもつらいです。

 今回の誤認逮捕は、適正な捜査を行っていれば起こらないはずでした。私のような思いをする人を二度と出さないためにも、口先だけの謝罪で済ませるのではなく、今後どのような指導を行い再発防止に努めるのか具体的に公表してほしいです。




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