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[児童虐待根絶] 懲戒権見直し どう判断(2019年8月16日配信『南日本新聞』ー「社説」)

 法相の諮問機関である法制審議会が、親権者が面倒を見たり、教育したりするのに必要な範囲で子どもを戒めることを認める民法の「懲戒権」見直しの議論を進めている。

 親による虐待で命を奪われる事件が相次ぎ、懲戒権が「しつけ」に名を借りた虐待の言い訳にされているとの批判は絶えない。その背景の一つとして「戒め」の範囲のあいまいな点が挙げられよう。

 審議会では懲戒権の削除や文言修正が検討されるとみられる。虐待根絶に向けて、徹底した論議を期待したい。

 親の体罰を禁じ、児童相談所の体制強化を目指す改正児童虐待防止法、改正児童福祉法が先に成立、来年4月から施行される。懲戒権に関しては施行後2年をめどに在り方を検討するとしていた。

 山下貴司法相は諮問にあたって「議論を公開し、広く国民の意見を聴取しながら充実した話し合いが行われるよう努める」と言明した。

 懲戒権については専門家の間でも削除に反対する声が根強い。「正当なしつけもできなくなる」「しつけをしなくていいと解釈する親のネグレクト(育児放棄)につながる」などの理由からである。

 このため、有識者でつくる法務省の研究会は、見直し案に(1)削除(2)「懲戒」の文言の変更(3)体罰など許されない範囲の明確化-などを列記した。案は参考資料として審議会に提示された。国民に法の趣旨が正確に伝わる見直しを求めたい。

 一方、改正法に体制強化が盛り込まれた児相の人材不足は深刻さを増している。政府は児童福祉司を2022年度までに2000人余り増員するが、全国の児相が18年度に対応した虐待の相談件数は過去最多の15万9000件と、10年間で4倍近くに増えた。

 政府は緊急対策として昨年7月、虐待通告から48時間以内に子どもに直接会って安全を確認できない場合には児相が立ち入り調査に乗り出す「48時間ルール」の徹底を求めている。

 だが、先ごろ共同通信がまとめた調査ではルール決定以降、児相を置く都道府県や政令市など69自治体のうち少なくとも59自治体で安全確認が48時間を超過したケースがあった。

 背景には現場の疲弊がある。調査では「通告の激増」などを理由に23自治体がルール徹底は難しいとした。児相が通告の対応を一手に引き受ける状況に限界が来ていることが浮き彫りになった形だ。

 複雑な家庭環境が多い虐待問題に対応できる人材育成は、時間がかかる。虐待をなくすには法整備と同時に、児相と自治体、警察、学校、医療者といった関係機関がチームとして機能できる仕組みづくりが急務である。




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