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アルキメデスの大戦(2019年8月17日配信『愛媛新聞』ー「地軸」)


 「僕にはあの船が、日本という国そのものに見える」。今夏公開された映画「アルキメデスの大戦」のラストシーンで、主人公の天才数学者が涙する

▲「あの船」とは戦艦大和。巨大戦艦建造によって戦争への道が開かれることを危惧する主人公が、建造費見積もりの虚偽を暴くことで、推進派の将校に立ち向かうとのストーリーだ

▲終盤、大和がその威容と戦力ゆえに、ある運命を背負わされていることが明らかになる。もちろんフィクションだが、史実である悲劇的な最期から振り返ると、奇妙な説得力を持つ

▲大和が撃沈される沖縄水上特攻は、飛行機の護衛もないまま、米軍が上陸を始めた沖縄へ突入。陸地に乗り上げて砲台化するという無謀なものだった。「この作戦にどれだけ成功の算があるか」「もし成算がなければ数千の部下をむざむざ犬死にさせることになる」。後に艦と運命を共にする伊藤整一第二艦隊司令長官は、作戦に対し強く疑問を唱えたそうだ(栗原俊雄「戦艦大和」)

▲「不沈艦」とうたわれた大和は、1945年4月7日、2時間ほどの戦闘の末、沈没する。約3千人の乗組員のうち、生還者は276人にすぎない

▲いま、広島県呉市の「大和ミュージアム」の企画展で、海底に沈む大和の映像資料や模型を展示している。大きく裂け、朽ちゆく船体は、なるほど、かつてのこの国の過ちや矛盾を引き受け、自ら眠り続けているようにも見える。




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