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「一部の犠牲」はやむを得ないか(2019年8月22日配信『琉球新報』-「金口木舌」)

 他人の真意を把握するのは容易ではない。仕事場や私生活でもミスコミュニケーションによる問題は誰しも経験があるだろう。それが雲上人ともなれば、なおさらだ

▼昭和天皇が1953年に初代宮内庁長官に語っていた言葉が公になった。戦争への反省を表明しようとしたが吉田茂首相の判断で削除されたことは以前から知られていたが、基地問題を巡る発言もあり、身内を前にしたためか、かなり冗舌な印象だ

▼基地から派生する問題を犠牲と認識してはいたようだ。その上で昭和天皇は「全体の為(ため)ニ之(これ)がいいと分れば一部の犠牲は已(や)むを得ぬと考へる」と述べ、代わりに補償するしかないと論じている

▼これまでも公ではない言葉はいくつか出ている。47年には米国による琉球諸島の軍事占領継続の考えを米側に伝えた。いわゆる天皇メッセージだ。日本の主権は残しつつ25~50年かそれ以上の米国による沖縄の長期租借を、と考えていた

▼75年の訪米後の会見で昭和天皇は、広島への原爆投下を遺憾としつつ「戦争中であることだから、どうも広島市民に対しては気の毒だが、やむを得ない」と答えた

▼言葉だけでは、どう考えていたか、判断は難しい。戦争を起こした責任者として「贖罪(しょくざい)意識」も指摘される。だが一連の言葉からは「一部の犠牲はやむを得ない」との観念は共通して持ち続けていたことが分かる。




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