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新学期を前に 居場所は学校以外にも(2019年8月23日配信『東京新聞』ー「社説」)

 もうすぐ夏休みが終わり、新学期が始まる。学校に行くのが憂鬱(ゆううつ)な事情を抱える子どもたちの心模様を考えると心配な時期でもある。助けを求めていないか。心の声に耳を澄まし、見守ろう。

 夜間中学の教員や弁護士ら、不登校となった子どもたちと接している関係者は、学校が学力ありきの序列化や競争の波にさらされ、息苦しい場所になっているのではないかと懸念している。

 端的な例は全国学力テストだ。文部科学省は昨年度から成績公表を1カ月前倒しして7月末とした。学校が夏休み中に分析し、二学期からの授業の改善などに生かすことを期待している。

 大阪府の吉村洋文知事は、自身が3月まで市長をしていた大阪市の小学校国語の平均正答率が政令市中最下位だったことを理由に今夏の賞与分を寄付すると表明した。校長や先生たちには心理的な圧力となっているのではないか。

 学力は、自治体トップや学校のために向上させるものではなく、子どもたちの人生を豊かにすることが本来の目的のはずだ。本末転倒とならぬよう、まずは夏休みの思い出に耳を傾ける余裕を持って子どもたちを迎えてほしい。

 いじめなど悩みを抱えた子どもたちは誰にも相談できず、命を絶つしかないと思い詰めてしまうこともある。教育評論家の武田さち子さんは要注意サインとして、発熱や胃痛などの原因不明の体調不良が続いたり、昔のアルバムを引っ張り出したり思い出話をしたりするなどの行動を挙げている。

 自殺した子の遺族からは、他人の視線を気にするようになっていたという話も何度か聞いたという。強い不安の反映とみられる。

 周囲に気を使い、変化を感じさせない子もいるだろうが、もしサインに気付いた時には言葉に出して心配していることを伝えることが大切だ。じっくり話を聞き、安全確保策を探る。学校以外の居場所を選択することも一つの道だ。

 2016年に成立した教育機会確保法では、子どもたちの休養の必要性を認め、学校外での学習の機会が得られるよう、子どもやその親に必要な情報を提供することを国や地方自治体に求めている。

 悩んでいる子どもたちは、周囲にSOSを伝えたうえで、心のエネルギーをためるための時間を確保してほしい。学校でなくてもいい。笑顔でなくてもいい。いいことも悪いこともある長い人生の一日一日をまずは生きてみよう。



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