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福祉施設 避難計画進まず…豪雨被災地 自治体支援に差(2019年8月28日配信『ヨミドクタ』)

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福祉施設 避難計画進まず…豪雨被災地 自治体支援に差

 浸水や土砂崩れの恐れがある区域に立地する福祉施設など要配慮者利用施設に義務づけられた避難確保計画の作成が進んでいない。国土交通省の昨年3月時点の調査では全国の作成率は2割弱。昨年7月の西日本豪雨の被災地でも多くの施設で手付かずになっており、専門家は「自治体が積極的に働きかけ、作成を急がせるべきだ」と指摘している。

【要配慮者利用施設】避難に介助や誘導が必要な災害弱者が利用する福祉施設や医療機関、学校など。このうち、浸水想定区域内や土砂災害警戒区域内にある施設を、市町村が地域防災計画で指定する。

■作成前に被害

 「もし計画があれば、職員の参集もスムーズだったかもしれない」。広島県三原市で認知症の高齢者が入所する「梅菅園グループホーム」(豪雨後に廃止)を運営していた法人の岡林浩一施設長は、西日本豪雨時の対応を悔やむ。

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西日本豪雨で浸水した梅菅園グループホーム(広島県三原市で。昨年7月7日撮影、施設提供)

 浸水は昨年7月6日午後10時頃に始まり、水は1階の天井にまで達した。夜勤の職員2人だけで入所者17人を2階に移動させたが救助は難航。全員が施設外に避難できたのは2日後だった。食糧の備蓄はほとんどなく、施設の外から電話で職員らとやり取りを続けた岡林施設長は「駆けつけることもできず不安が募った。事前に備えを考えておくべきだった」と振り返る。

 現在運営する施設では既に計画を作成し、気象警報が出れば、管理職の職員が集まるなどのルールを取り決めたという。

■全国で2割弱

 2016年の台風10号で、岩手県岩泉町の認知症グループホームの入所者9人が逃げ遅れて犠牲になったことを受け、国は17年に水防法や土砂災害防止法を改正。浸水想定区域や土砂災害警戒区域に立地する各施設に避難確保計画の作成を義務づけた。

 対象施設は昨年3月時点で全国に延べ6万1201か所あり、利用者を避難させる経路や避難を始める判断基準、必要な人員、備蓄品などを明記して各市町村に提出し、定期的に訓練を行うことなどが求められる。

 国交省は21年度末までに浸水、土砂のいずれも作成率100%を目指しているが、同省によると昨年3月時点で完了したのは全国の浸水想定区域で17・7%、土砂災害警戒区域で14・5%だった。

 読売新聞が西日本豪雨で甚大な被害が出た岡山、広島、愛媛3県の状況を調べたところ、今年3月末時点で浸水は岡山が県平均3%、広島66・6%、愛媛21%。土砂は岡山0・2%、広島54・2%、愛媛34・8%で、自治体によって大きな開きが出た。

■義務認識せず

 作成が進まない理由について、国交省の担当者は「施設の怠慢というより、市町村の取り組みの温度差が影響している」と明かす。

 浸水想定区域の対象施設313か所のうち作成済みが1か所だけだった岡山県倉敷市は、これまで施設側に作成を促したことはない。市の担当者は「昨年は災害対応に追われた。ようやく計画作りの呼びかけに動き出すところ」と釈明する。

 計画作成が義務であることを認識していない施設も多い。同市にある「真備かなりや保育園」もその一つ。昨年の豪雨は夜間だったため、約200人の園児らは帰宅して無事だったが、系列の園も含め3施設が全て浸水した。

 狩山亜由美園長は「計画を作ることが義務とは知らなかった」と明かした上で、「日中に被害が出た場合、どうすれば園児全員を救えるのかは大きな課題。計画を作成し、保護者にも助言をもらいたい」と話す。

 自治体の取り組みが奏功しているケースもある。津市では浸水想定区域の243施設のうち76%が作成を終えた。同市は国の担当者や専門家を招き、計画作りの講習会を定期的に開き、未作成の施設には講習会への参加を促している。市の担当者は「施設側も災害の不安は常に抱えており関心は高い。きちんと道筋さえ示せば、作成は進むはずだ」と話す。

「市町村は指導力を」

  片田敏孝・東京大特任教授(災害社会工学)の話 「避難開始のタイミングまで盛り込んだ避難確保計画を、施設側だけで作ることは難しい。台風シーズンとなり、いつ災害が起きても不思議ではない。市町村は指導力を発揮して施設を支援し、作成を急がせる必要がある」




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