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一億総懺悔の日(2019年8月28日配信『高知新聞』ー「小社会」)

 1945年のきょう8月28日、敗戦国のトップに任命されたばかりの東久邇宮(ひがしくにのみや)稔彦(なるひこ)首相は記者会見で敗因に触れてこう語った。「ことここに至ったのはもちろん政府の政策がよくなかったからでもあるが、また国民の道義のすたれたのもこの原因の一つである」。

 「この際、私は、軍官民、国民全体が徹底的に反省し懺悔(ざんげ)しなければならないと思う」。いわゆる「一億総懺悔」は流行語にもなった。

 戦後生まれの一人として、この言葉を聞くとき、言いようのない違和感にとらわれる。戦争指導者の責任が国民全体に転嫁され、やがて雲散霧消していった。その種の批判は、今も根強くある。

 日本が戦争を始めたときも、無謀な作戦を推し進めていたさなかにも、そして戦争を終わらせるときも、民衆は政府から何も知らされていない。戦争について口にすることさえはばかられた時代。「道義がすたれた」「懺悔せよ」では、国民もたまったものではない。

 「軍も政府も国民もすべて下剋上とか軍部の専横を見逃すとか皆反省すればわるいことがあるからそれらを皆反省して繰り返したくないものだ」。先ごろ公開された、初代宮内庁長官による「拝謁(はいえつ)記」。昭和天皇の52年の発言だが、7年前の首相の「一億総懺悔」と、いかに酷似していることか。

 戦後日本の始まりを定めたあいまいな言葉は、戦争責任のあいまいさと相まって、今も日本に重くのしかかっている。




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