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診察室の探偵(2019年8月29日配信『北海道新聞』ー「卓上四季」)

 名探偵ホームズは、姉の怪死と不審な出来事を語り終えた女性に言う。「話はそれで全部ではないでしょう」。驚く女性の袖をまくると手首に青黒い指の痕。「ずいぶん残酷に扱われているようだ」(「まだらの紐(ひも)」)

▼観察がものをいうのは探偵に限らない。虐待の発見を後押ししようと、日本子ども虐待医学会は5年前、医療機関向けの啓発プログラム「BEAMS(ビームス)」を始めた

▼虐待を小児期に見極めるべき重要な「疾患」と捉え、適切な対応を示した。受講者は1万数千人に上る。子どもの状態と親の説明との矛盾から虐待の可能性を考え、重症度を判断する。「診療行為」として通告を促す一方、気になる親子を見守る視点も忘れない

▼有病率が極めて高い。重症例を見逃せば死に至る。自然治癒はまれで、慢性化しやすい。多様な合併症が高率で現れる。親から子へ感染する。社会への負の影響が大きい

▼それが虐待の特徴だ。疾病なら、総力を挙げて発見と治療、予防に努めるだろう。だが、社会の動きはまだ鈍い。それぞれの立場で、できることがあるはずだ

▼道内唯一のBEAMS講師で、函館中央病院小児科医長の石倉亜矢子医師が一般向けの講演で呼びかけた。「疑わないと見つけられない。そして、疑いを放置しないために連携が必要です」。一人の名探偵より、たくさんの注意深い目を苦しむ親子が待っている。




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