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パラ五輪へ1年 「共生社会」実現の一歩に(2019年8月30日配信『山陽新聞』ー「社説」)

 世界中から障害のあるトップアスリートらが集まる2020年東京パラリンピックの開幕まで1年を切った。陸上や水泳、車いすラグビーなど22競技に約4400人が参加し、史上最大規模となる見通しだ。さまざまな障害や困難を乗り越え、より高みを目指して挑戦する障害者らの姿は多くの感動を呼び、勇気を与えてくれることだろう。

 日本は、前回のリオデジャネイロ大会では14度目の夏季パラリンピック出場で初めて金メダルがゼロに終わった。それだけに自国開催でのリベンジも注目される。岡山からは、車いす陸上の佐藤友祈選手(岡山市)らの出場が有力視されている。佐藤選手はリオ大会で2個の銀メダルを得ており「金」獲得へ期待がかかる。

 選手の活躍や大会の盛り上がりによって障害への関心が高まり、差別や偏見の解消につながることも見込まれる。大会を障害者スポーツの裾野を広げる契機としても生かしていきたい。

 東京五輪・パラリンピックに向けて、政府は「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を定めている。公共交通の事業者に障害者らが利用しやすいよう段差解消などの計画作成を義務付けたほか、一定規模のホテルを新増築する際、車いす利用者用の客室割合を1%以上とすることを決めた。バリアフリーに配慮した競技会場が続々完成しており、運営リハーサルのテスト大会も本格化している。

 とはいえ、選手村を除いた宿泊施設はバリアフリーが行き届いた客室が不足するなど必ずしも万全とはいえない状況だ。東京を中心とした都市部とそれ以外の地域との「バリアフリー格差」への懸念も根強くある。

 障害者だけでなく高齢者や子どもも含め、誰でも利用しやすいユニバーサルデザインを目指し、整備や取り組みを加速させることが必要だ。

 会期は東京五輪後の8月25日から9月6日までで、暑さ対策も重要な課題となる。例えば、車いすマラソンは路面の反射熱を受けやすいほか、選手がかぶるヘルメット内は蒸れる。障害のため体温調整が難しい選手も少なくない。健常者との違いにも十分に配慮した対策が欠かせない。

 大会後に、社会の関心が低下してしまう心配もある。共同通信が今夏、東京パラリンピック出場を目指す日本のアスリートを対象に行ったアンケートでは、約6割が大会閉幕後にパラ競技への関心が薄れるのを不安に感じていた。競技の魅力を発信し、障害者スポーツを継続的に根付かせていくための取り組みが求められる。

 パラリンピックを通じて得られる知見や経験は、誰もが暮らしやすく、生きがいのある社会の実現につながるに違いない。互いの個性や違いを認めて支え合う「共生社会」を実現するための大きな一歩とすることが大切だ。




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Author:gogotamu2019
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