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[図書館と捜査] 個人情報の管理 厳格に(2019年8月30日配信『南日本新聞』ー「社説」)

 鹿児島県内の五つの図書館が、過去3年間に警察からの「捜査関係事項照会」の依頼を受け、うち4館で利用者情報の一部を提供していたことが分かった。

 いずれもどんな本を読んだかという履歴情報ではなかった。だが、任意捜査への協力で個人情報が提供されることは、プライバシーや思想、信条の自由を侵害する恐れがあり問題だ。

 利用者情報の管理は厳格に行われなければならない。図書館は個人情報保護の徹底に努めてもらいたい。

 日本図書館協会は「図書館の自由に関する宣言」の中で、強制力がある裁判所の令状を確認した場合以外は、読書記録や利用事実を外部に漏らさないと明記する。各図書館は「宣言」の原則を改めて確認し、慎重に運用していくべきだ。

 県内43全市町村教育委員会と大学図書館などに行った本紙アンケート調査によると、鹿児島、鹿屋、指宿、薩摩川内の4市立図書館が利用者情報を鹿児島県警に提供していた。

 鹿児島市は利用者の貸し出し日時が分かる資料を求められ書名が分からないよう黒塗りにした。鹿屋市、指宿市は利用者カードの発行有無を答えた。

 薩摩川内市は犯罪被害者の遺留品に利用者カードがあり、身元確認のため名前と住所の照会に応じた。アンケート結果を見ると、4館はプライバシーに配慮し、捜査協力したとみられる。

 鹿児島大学付属図書館は「盗難事件の捜査に必要な情報」の照会を受けたが、内容や提供の有無については明らかにしていない。

 捜査関係事項照会は、刑事訴訟法に基づき、官公庁などに必要な事柄の報告を求めることを認める。捜査に協力した図書館の対応は妥当だったのか。

 警察が実際にどんな理由で協力を求めたかは不明だ。捜査内容についても事案の詳細を説明することはないのが一般的である。図書館側がその必要性や緊急性がわからないまま、情報提供の可否を決めざるを得ないのが実情ではないか。

 捜査協力する場合の基準となる法令がないため、各図書館は難しい判断を迫られる。ならば、プライバシーを守る立場として、人命に関わるなどのケース以外は、令状をとった捜査に限るという原則に立ち戻るべきだろう。

 1954年採択の「図書館の自由に関する宣言」は、戦前戦中に特高警察の思想調査に協力した反省を踏まえたものという。79年に「利用者の秘密を守る」との項目を新設したのは、人権に配慮し、他の圧力や干渉を受けないとの決意だろう。

 近年は公立図書館の外部委託も進む。個人情報を守る図書館の体制は万全だろうか。市民が安心して利用できる透明性の高い運用を求めたい。




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Author:gogotamu2019
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