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人生に不可能はない(2019年8月30日配信『しんぶん赤旗』-「潮流」)

 その人の半袖のユニホームから両腕は見えません。それでも卓球のラケットをぎゅっと口にくわえ自在に操る。驚くのはサーブです。右足の指にボールを挟み、上に放る。落ちてきたところで鋭く頭を振り抜きます

▼エジプトのイブラヒム・ハマトさんが両腕を失ったのは、10歳の鉄道事故でした。引きこもりがちだった自身を救ったのが以前からやっていた卓球です。試行錯誤の末、磨いた“技”がいまのスタイル。3年前、43歳で初めて憧れのパラリンピックの舞台を踏みました

▼東京大会まで1年。一人ひとりに想像を絶する困難があり、乗り越えたドラマがある。その跡がそれぞれのプレーに刻まれています。観戦のたびに頭をめぐるのは障害ってなんだろう、人間ってすごいなという思いです

▼まひという意のパラと五輪をかけた造語の「パラリンピック」。1964年の東京大会で初めて生まれた愛称でした。同じ都市で2回目となる夏季大会は世界で初めて。当初は車いすのみの参加だった大会は、いまやその幅が広がり競技レベルも格段の進歩を見せています

▼合わせて社会の「障害」にたいする認識も引き上げてくれます。都市のバリアフリー化だけでなく、互いの心の障壁を溶かす。一人ひとりの強さ、勇気、挑戦心が、見る側の背中をそっと押してもくれます

▼「人生に不可能はない。それが私のメッセージ」。ハマトさんはいいます。2回目の東京大会が世界や日本に何を残してくれるのか。いまから1年後に思いをはせたい。




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Author:gogotamu2019
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