FC2ブログ

記事一覧

#新学期のあなたに 作家・浅生鴨さん「死にたいって思うこともあるよ」と伝えたい 受け止めるところから(2019年8月30日配信『毎日新聞』)

浅尾
インタビューに答える作家の浅生鴨さん=東京都港区で2019年8月26日

 2017年から「#8月31日の夜に。」と題し、「学校に行きたくない」「つらい」という10代たちが気持ちをはき出す場となる番組やウェブキャンペーンに携わっています。18年にウェブサービス「note」で不登校などの体験談を集めたら1000件を超える投稿が寄せられました。それらを本にまとめ、今月出版しました。

 今悩んでいる子どもには「死んではいけない」ではなく「死にたいって思うこともあるよ」と伝えたい。本当は「10代」「子ども」とひとくくりにできないくらい、1人ずつ悩みは違う。

 僕の10代は、自分がいてもいなくても何も変わらないのではないかという孤独を感じていました。上京し進学した大学は、なじめず除籍になりました。「何をしているんだろう」と思いながらも、何者かになれるのではないかとも考えていた。今ではそれは「人に認めてもらいたかった」と言えますが、10代のさなかにはわからなかった。

 大人にとって大切なことは、子どもに悩みを打ち明けられた時に自分の思いをうそ偽りなく伝えること。その場で傷つけさえしなければいいと思って「今さえ我慢すれば将来楽になる」「3年間を乗り越えれば」と言ったり、「死にたいと言うなんていけないこと」と叱ったりするのではなく、受け止めるところから始める。子どもの言葉にびっくりしたり悲しかったりしたら、それを伝えればよい。道徳の授業のように借りてきた言葉ではなく、本当に思ったことを届けてほしい。

 子どもの世界は家と学校、関わる大人は親と先生、と狭い。大人は子どもに「別の世界」があることを伝えなければいけない。僕自身を振り返ると、小学生の頃に通った古本屋がその「別の世界」だった。男性店主から「これ読め」と差し出された本は、平井和正さんや筒井康隆さんの小説、青年誌の漫画など。世の中を皮肉ったり、タブーがない作品は、親が買ってくれたり教えてくれたりしないような世界でした。

 現代はネットで誰かとつながることもできるし、物理的に顔を突き合わせる関係だけではない。人物だけでなく、個人の手帳に自分の思い書き出すのも含めて、何かはき出せる「別の世界」が必要だと思います。

 あそう・かも 1971年神戸市生まれ。NHKで福祉関連番組「ハートネットTV」の制作に携わる。2014年にNHK退局。著書に視覚障害者スポーツを描いた小説「伴走者」など。




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ