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年金の財政検証 試算が甘く安心できぬ(2019年8月31日配信『北海道新聞』ー「社説」)

 少子高齢化で厳しい年金財政から目をそらさず、政府は、不断の改革が求められる。

 厚生労働省は、公的年金の長期的な給付水準を5年に1度試算する財政検証の結果を公表した。

 現役世代の平均手取り収入に対する年金受給額の割合「所得代替率」に関し、2047年度も政府が掲げる「50%維持」は達成できるとの見通しを示す。

 ただ、経済成長と高齢者の就労が進むことが前提だ。これでは見通しが甘すぎるのではないか。

 財政検証は、年金制度の「健康診断」だ。年金の実質的な価値が先細りする中で、手をこまねいている場合ではない。

 「支える側」の現役世代も、「支えられる側」の高齢世代も、制度に対する不安や不信を払拭(ふっしょく)できるよう、持続可能な制度へと高める必要がある。

 試算は高成長から低成長まで6通りで示され、上から3番目の標準的なケースでは、19年度の61・7%から徐々に低下し、47年度に50・8%で下げ止まるとした。

 だが、50%を維持しても実質的な価値は約2割目減りする。

 国民年金に限れば、約3割低下する。保険料を40年間納めた場合でも現状で満額月6万5千円にとどまる。4割を占める非正規労働者への低年金対策が急務だ。

 低成長の3ケースは50%を割り、0・5%のマイナス成長だと30%台後半に落ち込む。「100年安心」とは到底言えない。

 対策の一つとして、パート労働者らの厚生年金加入拡大で給付水準を改善させる試算も出した。

 従業員501人以上の企業といった要件を廃止し、週20時間以上働き、賃金が月8万8千円未満の人も対象にすると、新たに325万人が支え手になる。

 低年金対策につながる一方、保険料は労使折半で中小企業の負担は重く、支援策が欠かせない。

 受給開始を65歳から75歳まで遅らせると、給付水準が最大約1・7倍になるとの試算も出した。

 働くことが生きがいの人も多く、環境整備が不可欠である。高齢者は体力の差が大きく、個々の生き方が尊重されるのが大前提だ。

 問題なのは、検証結果の公表が前回の6月上旬より大幅に遅れたことだ。夏の参院選への影響を嫌ったと疑われているが、年金制度に対する不信が一層膨らみかねず、政府の責任は重い。

 今後、政府は来年の法改正を目指すというが、与野党は垣根を越え、議論を尽くす責務がある。




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