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日本の民主主義を危うくする(2019年8月31日配信『高知新聞』ー「小社会」)

  「やじ」という言葉の語源をたどっていくと、「やじ馬」に行き着くようだ。「やじ」は「親父(おやじ)」が転じたもので、親父馬は仕事に使えない老馬をいう(「暮らしのことば 語源辞典」)。
 
 やじもやじ馬も、無責任というニュアンスを含んでいるようだ。だからやじを飛ばされたって、そう目くじら立てて怒るほどのことではあるまい。スポーツや劇場公演では、場を盛り上げる効果もある。政治の世界には、「やじは議場の華」という褒め言葉すらある。
 
 ただ「華」と呼ばれるには、当意即妙の機知やユーモアを含むやじに限られよう。今は、一国の首相が野党議員の質問を意味もなくやじるなど、品位はガタ落ちである。
 
 埼玉県知事選の応援演説をしていた柴山文部科学相に対し、やじを飛ばした男性が県警に取り押さえられた。発した言葉は「柴山やめろ」「民間試験撤廃」。文部行政を批判しただけで、何の問題もない。なぜ警察という公権力が、発言を封じたのか。柴山氏は選挙妨害だというが、市民の表現の自由を傷つけたことは明らかだ。
 
 以前にも紹介した逸話だが、吉田茂元首相は初めて高知から選挙に出たとき、コートを着て演説に立った。「外套(がいとう)を取れ」とやじが飛んだ。吉田は「外套を着てやるから街頭演説です」と応じ、これは大受けだった。
 
 自分の気に入らない意見は認めないという狭量な政治が、日本の民主主義を危うくする。




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