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AEDが使えれば 救えたかもしれない命、遺族の願い(2019年9月2日配信『朝日新聞』)

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前重響さん=遺族提供

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AEDの普及・啓発に取り組む前重さん夫妻=大阪・梅田

 AEDがあれば助かったかもしれない――。最愛の息子を心臓突然死で亡くした遺族が、けいれんを起こした心臓のリズムを電気ショックで元に戻す自動体外式除細動器(AED)の普及・啓発活動を15年、続けている。遺族は「もう二度と、誰にも同じ思いをしてほしくない」と語る。

 大阪市の桃山学院高校3年だった前重響(ひびき)さん(当時17)は2004年5月27日、1500メートル走のゴール手前50メートルのところで突然倒れた。教師らにより胸骨圧迫(心臓マッサージ)などの救命処置が行われたが、心臓突然死で亡くなった。

 運動が得意で、2年生までは陸上部に所属。母の奈緒さん(59)は「まさか走っていて亡くなるとは、信じられなかった」と話す。

 奈緒さんによると、響さんは、少しクールなところがあって、曲がったことが嫌いな性格。でも、「友達の良いところをちゃんと見ていて、友達を大切にしていた」。人間科学の研究者をめざし、3年生から大学受験に集中。大好きなスポーツを中断して夢を追いかける姿を応援し、幸せな将来を願っていた中で不幸が起きた。

 その約1カ月後、厚生労働省は、一般の人がAEDを使えるよう通知を出した。そのことを報道で知った父の壽郎(としお)さん(63)は「このAEDがあれば助かったかもしれない」という思いに襲われた。同時に、社会の一端を担う大人としてAEDを普及させていなかった責任を感じた。「助かる命だった息子を守ってやれなかった」。今も後悔している。

 間もなく、前重さん夫妻はAEDの普及に注力し始めた。「命を救える社会にしたい」との思いからだ。地元の学校を訪ねてAEDの必要性を説明したり大阪を中心に講演したりして、設置場所を増やす活動に取り組んだ。一方で、胸骨圧迫とAEDの使用を推進するNPO法人「大阪ライフサポート協会」の救命講習会などを何度も受け、自分たちの知識と技術を向上させ、周りにも広めていった。

 13年春からは、日本AED財団専務理事の石見拓・京都大学教授(救急医療)が大阪・梅田で月1回を基本に開く救命講習「ハートソシオ」に毎回、スタッフとして参加。講習の終わりにはどちらかがマイクを握って救える命があることなどを説く。少しでも、助けようとしてくれる人が増えることが願いだ。

 講習は7月、100回を数えた。活動に賛同した受講生が講習のスタッフとして教える側になるなど、活動は広がりを見せ始めている。

 奈緒さんは「講習を受けていれば、いざという時に助けようとする気持ちを後押ししてくれると思う。繰り返し受講してくれれば、実際に助ける技術も上がっていく」。壽郎さんは「もちろん、助からないこともある。でも、残された家族にとって、誰かに助けようとしてもらったということが、とても救いになるんです」と話している。
     ◇
 ハートソシオの受講料は1回千円(リピーターは500円)。日程は大阪ライフサポート協会のホームページ内(https://osakalifesupport.or.jp/events/cat/push-course別ウインドウで開きます)に掲載。申し込みは、受付フォーム(https://ws.formzu.net/fgen/S59716504/別ウインドウで開きます)へ。





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Author:gogotamu2019
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