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AEDためらわないで 一般化15年、遺族が普及啓発

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大阪府羽曳野市の西浦小学校であった救命講習。児童たちはAEDの使い方も学んだ

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簡易の救命講習グッズについて説明する前重さん夫妻=2019年6月19日、大阪・梅田

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AEDの重要性などについて講演する桐田寿子さん=2017年11月、栃木県栃木市

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生前の桐田明日香さん(左)と母の寿子さん=寿子さん提供

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桐田明日香さん=桐田寿子さん提供

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 心臓のリズムを電気ショックで元に戻す自動体外式除細動器(AED)を一般の人が使えるようになって15年が経ちました。日本AED財団によると、国内の設置台数は約60万台に増加。しかし、AEDが使われずに亡くなった子どもの遺族らは「使おうと思ってくれる人も増えてもらう必要がある」と啓発活動を続けています。

 2004年5月27日、大阪市の桃山学院高校。3年生の前重響(ひびき)さん(当時17)は1500メートル走のゴール手前で突然倒れた。教諭らが胸骨圧迫(心臓マッサージ)と人工呼吸をしたが、心臓突然死で亡くなった。

 当時の医師法の解釈では、AEDを扱えるのは医師や救急救命士、航空機の乗務員ら。設置場所も限られ、同校にはなかった。厚生労働省が1年越しの議論をまとめ、一般の人がAEDを扱っても違法としない解釈を都道府県に通知したのは、響さんの死から約1カ月後だ。「これがあれば、息子は助かったかもしれない」。父の壽郎(としお)さん(63)と母の奈緒さん(59)はAEDの設置活動を始めた。

 その後、スポーツ施設や学校で設置が進んだが、11年9月にさいたま市の小学校で、AEDがあるのに使われずに児童が亡くなった。

 6年生の桐田明日香さん(当時11)は1千メートルを走った直後、倒れて意識不明に。担架で保健室に運ばれたが、救急車が着くまで救命処置は行われず、傍らにあったAEDも使われなかった。翌日の夜、明日香さんは息を引き取った。その後の調査では、教師らが「死戦期呼吸」と呼ばれる心停止後に起こる「あえぎ」を呼吸ありと判断して、救命処置を始めなかった可能性が指摘された。

 「二度と同じ事が起こらないように」。母の寿子(ひさこ)さん(48)は翌12年、市教育委員会や日本AED財団の専務理事で京都大教授(救急医療)の石見拓さん(47)らとともに、救急対応マニュアル「ASUKAモデル」を作成。反応や呼吸が正常かわからない場合は、迷わずAEDを使うことなどを盛り込んだ。

 このことを知った前重さん夫妻と寿子さんは連絡を取り合うようになった。子どもの思い出の品を贈り合うなどして交流を深め、互いを心の支えとしながらAEDを使う人を増やす活動を続けている。

 前重さん夫妻は学校や、石見教授が大阪・梅田で開くAEDの講習会で命の大切さについて話す。講習会は100回を数え、壽郎さんは「繰り返し学ぶことでいざというときに体が動く。何度でも参加してほしい」と呼びかける。

 寿子さんは全国各地での講演などでASUKAモデルを紹介し、すぐにAEDを使う重要性を訴えている。「迷ったらとにかくAEDを。その勇気で救える命がある」

 大阪府羽曳野市では昨年度、ASUKAモデルを学んだ現場の教師らが呼びかけ人となり、市内の全小学校で児童がAEDの使い方などを学ぶ救命講習を開いた。今年度以降も続ける予定で、市教委も講習用のグッズを購入するなどして支援する。

 今年、同市の西浦小学校であった救命講習では、地元の消防本部も協力して、5年生約80人が胸骨圧迫やAEDの使い方を学んだ。子どもたちは汗をかきながら胸骨圧迫を体験。授業後には「命を救えることを知った」「勇気を出してAEDを使う」といった感想が出た。

 呼びかけ人の一人で同校の五十嵐美果教諭(49)は「小学生でもAEDは持ってこられる。何より、命の大切さを学べる貴重な授業となっている」と意義を話す。

AEDどこにある? 登録に「協力を」

 日本AED財団によると、心臓突然死は年間約7万人にのぼる。1分経つごとに救命率は10%下がるとされ、10分以上何も処置しないと、ほぼ全員が助からない。119番をするだけよりも、胸骨圧迫をすると2倍、さらにAEDを使うともう2倍、救命率が上がるとされる。また、数分以内にAEDが使われると、脳や心臓へのダメージが抑えられ、社会復帰できる可能性が高くなるという。

 AEDを使おうとした際に困るのがどこにあるのか分からないことだ。そこで同財団は今年度、市民がAEDの設置場所を登録するウェブサイト「AED N@VI」を立ち上げた。サイトでサポーターになった個人や団体から寄せられた情報を地図に落とし込む。現在、約3千人が参加し、約8千台が登録されている。年度内に2万台、来年度に10万台の登録を目指す。

 サイトでは、消防が心停止を疑った場合、あらかじめ登録されたボランティアのスマートフォンに現場と近くのAEDの場所を通知して、AEDの運搬を依頼する運用を想定。愛知県尾張旭市や千葉県柏市で実証実験中だ。このシステムが整えば、近くにいる人がAEDを取って現場に駆けつけることができ、時間短縮が図れるという。

 石見教授は「サイトに協力したり講習を受けたりしたからといって、救命の責任や義務を負うわけではない。心停止となった人を必ず助けられるわけではないが、多くの人が関心を持ってサイトに協力してくれれば、もっと心臓突然死は減らせる」と話している。   ◇
 〈AED〉 何らかの理由で心臓がけいれんを起こし心停止状態となった際、電気ショックを与えて元のリズムに戻す機械。電源を入れ、機械の指示に従えば簡単に使えるようになっている。電気ショックが必要かなどは機械が判断する。操作によって人体に悪影響が出ることはない。




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Author:gogotamu2019
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