FC2ブログ

記事一覧

揺らぐ記憶(2019年9月2日配信『北海道新聞』ー「卓上四季」)

 炎天下、直立不動で玉音放送に耳を澄ます。「終戦の日」のイメージはそんな感じだろうか

▼1945年8月15日の道内はおおむね曇りだったが、道民の多くは晴れて暑い日だったと回想しているという調査結果がある。京都大の佐藤卓己教授が先月の本紙「各自核論」で、これは「メディアが創造した集団的記憶」による「記憶の上書きではないか」と考察し、興味深い

▼気象予報士の饒村曜さんは「終戦の年は暑いというイメージがあるが冷夏」だったとブログに記している。夏全般にわたりほぼ全国で平年気温を下回ったが、ドラマなどで8月15日が繰り返し暑い日として描かれたため、暑い夏と感じるというのだ

▼「終戦の日」自体、東京湾の戦艦ミズーリで降伏文書に署名した74年前のきょう9月2日だという認識が国際標準となっている。であれば、その日の天気が気になる。当時の北海道新聞は、「この朝灰色の雲が低く垂れ込めていた」と艦上取材の特派員電を載せている

▼ところが全権として署名した外相重光葵は自らの手記に、早朝、沖合のミズーリに向かう際の様子を「旭光漸(ようや)く海波を照(てら)す」と書いている。署名後の帰路では富士山が見事に見えたという。正解は晴れなのだろうか

▼こうなると、記憶の確かさ以前に、事実が見る人によって違うことがあると知らされる。迅速、正確な報道を目指す立場として、胸に刻みたい。

降伏文書➡ここをクリック(タップ)




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ