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鹿児島女児死亡 児相の対応に疑問が募る(2019年9月3日配信『西日本新聞』ー「社説」)

 また小さな命が失われた。児童相談所の対応に、過去にも繰り返された問題がうかがえる。踏み込んだ検証が必要だ。

 鹿児島県出水市に住む4歳女児が死亡し、同居していた男が暴行容疑で逮捕された。女児は男から頭部を殴られ、その後に風呂で溺死したとされる。女児は虐待を受けていた疑いもある。県警は速やかな事件の全容解明に力を尽くしてほしい。

 男は母親の交際相手という。母娘が同県薩摩川内市に住んでいた今年3月中旬、女児が虐待を受けている可能性を示す情報が県警に寄せられた。県警と児相が母娘に面接したが、虐待は確認できなかったという。

 その後、4月上旬にかけて、夜間に1人で外出している女児を県警が4回も保護した。県警は文書や電話で一時保護の必要性を児相に伝えたが、保護が行われることはなかった。

 4歳児が夜に1人で出歩き、短期間に4回も警察に保護される。尋常な話ではない。直前に虐待を示唆する情報を得ていながら、児相はなぜ保護に踏み切らなかったのか。その判断には疑問が募る。

 母娘と男の3人は7月から隣接する出水市で暮らし始めた。8月に女児が受診した病院で数カ所のあざが確認されていた。これを市は事件後に明らかにした。この情報が県警や児相と適切に共有されていれば、結果は異なったかもしれない。

 東京都目黒区で昨年3月起きた5歳女児虐待死事件を教訓に政府は緊急対策を打ち出した。虐待リスクが高い家族が転居した場合の自治体間の情報共有の徹底や、児相と捜査当局などの連携強化を盛り込んだ。こうした対策は全国の現場で着実に実施されているのだろうか。あらためて点検を求めたい。

 全国の児相が対応する児童虐待件数は増える一方だ。厚生労働省によると、2018年度は前年度比2割増の約16万件に上り、過去最多を更新した。

 国は、児童福祉司の増員などで児相の態勢強化を急いでいるが、対応件数の増加に追いついていない。虐待対策の中核は確かに児相ではあるが、もはや児相だけでは子どもを守りきれない現実もあるといえる。自治体との役割分担や警察との連携強化を一段と進める必要がある。

 児相による子どもの一時保護の遅れは最悪の事態を招きかねない。ただ児相職員は、支援すべき家族との関係の悪化を懸念し、一時保護を迷うことがあるという。

 もともと児相は「支援」と「介入」という両立が難しい仕事を担っている。専従の部署を設けるなど組織・機能面の見直しも急ぎたい。




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