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鹿児島女児虐待 救えたはずの命がまたも(2019年9月5日配信『新潟日報』ー「社説」)

 虐待を疑わせる兆候はあった。児童相談所や県警、市も把握していた。もっと危機感を持ち、適切な対応を取っていれば、命は救えたかもしれない。悔やまれてならない。

 鹿児島県出水市で先月28日、4歳の大塚璃愛来(りあら)ちゃんが死亡した事件で、関係機関の対応や連携に対する疑問の声が上がっている。

 璃愛来ちゃんの死因は溺死で、暴行によるとみられる傷が頭部から下半身にかけて数カ所あった。母親の交際相手で、暴行容疑で逮捕された男は「殴ったことは間違いない」などと供述しているという。

 男による虐待を疑わせる情報は以前からあった。最初に匿名の通報が県中央児童相談所にあったのは、母子が薩摩川内市に住んでいた3月中旬だ。

 3月下旬には夜間に璃愛来ちゃんが1人で外出しているところを県警が保護。4月上旬まで計4回、同じことが起きた。

 県警は児相に一時保護の必要性があると通告し、児相も4回目は保護する方針だった。しかし、母親が引き取ったため、実施せず、育児放棄(ネグレクト)と認定するにとどまった。

 4歳児が夜1人で外にいること自体、命に関わる異常な状況だ。いったい子どもの安全確保をどう考えていたのか。

 東京都目黒区で父親から虐待を受けた船戸結愛(ゆあ)ちゃんが死亡した事件では、虐待の兆候に気付きながら、一時保護しなかったことが問題となった。

 それを受け政府は、虐待の危険がある場合は、ちゅうちょなく一時保護するよう自治体に通知していた。教訓が今回も生かされなかったことに、やりきれなさがこみ上げる。

 児相や市の情報共有も十分だったとはいえない。

 児相や薩摩川内市は、母親に交際相手がいることを把握していたが、7月に転居した先の出水市は事件発覚まで知らなかったという。

 厚生労働省によると、実母の再婚相手や交際相手が虐待の加害者になる例が多い。交際相手の存在という重要情報を共有できていなかったのはなぜか。

 ほかにも、出水市が女児の体に数カ所のあざがあるとの情報を県警や児相に伝えていなかったことも分かった。

 情報共有の重要性は、結愛ちゃんをはじめ、多くの虐待事件でも課題として浮かび上がっている。にもかかわらず、同じ過ちが繰り返されたことになる。

 児相は4日の記者会見でようやく、自治体と適切に連携していれば事態は防げたと認めた。厳しく反省するとともに、徹底的な検証が求められる。

 相次ぐ虐待事件を受けて、子どもの体罰禁止や児相の体制強化を盛り込んだ改正児童虐待防止法などが来年4月に施行される。政府は、2千人の児童福祉司を増員するとしている。

 将来の体制強化が決まっているとはいえ、目の前の被害を減らすには、関係機関の結束が不可欠だ。これ以上、子どもたちの死を無駄にしたくない。




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