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がん征圧月間 仕事との両立支援さらに(2019年9月5日配信『山陽新聞』ー「社説」)

 今月はがん征圧月間である。がんは死を連想させる病気とされてきたが、必ずしもそうではなくなっている。

 2009~10年にがんと診断された患者の5年後の生存率は66・1%だった。国立がん研究センターが先月発表した。全国のがん診療連携拠点病院277施設の患者約56万8千人を分析した結果だ。

 08~09年に比べて0・3ポイント向上した。治癒の目安とされるこうした患者の割合は、他の統計データを含めて見ると1990年代後半から伸び続けている。治療の進歩や、検診の普及による早期発見のためとみられる。

 治療の在り方も変わった。主流は長い休業を伴う入院から、短期の入院と通院治療へと移っている。手術も、以前より体への負担が軽い内視鏡などが広まってきた。

 このため、個人差はあるものの、治療しながら働くことが望めるようになった。年間100万人ががんと診断され、このうち4人に1人が20~64歳の働く世代だけに歓迎できることだ。国や自治体、医療機関は治療だけでなく、仕事との両立など生活の質を高める支援に一層力を入れてもらいたい。

 16年に改正されたがん対策基本法は、患者が働き続けられるよう配慮することを企業の努力義務とした。だが、働きながらの通院、負担軽減に利用できる短時間勤務や在宅勤務制度、病気休暇などが普及していない企業もまだ少なくない。

 厚生労働省が7月に公表した調査では、がんを含む病気治療や障害と仕事との両立は「困難だ」とする答えが、回答した千人の当事者の66・3%を占めた。理由(複数回答)は「体力的に厳しい」が5割で最多だったが、「柔軟な勤務形態、休暇・休業制度などが整備されていない」「上司や同僚から理解、協力が得られにくい」もそれぞれ3割を超えた。

 柔軟な働き方やきめ細かい支援が求められる。働く上でどんな配慮が必要かなど患者と企業、主治医との橋渡し役の養成も重要だろう。

 患者の支援については、厚労省が本年度、民間団体による取り組みに対する全国調査を行う。相談件数や内容、対応事例などを確認するとともに、就労支援の状況も調べ、国の施策拡充に反映させる。

 患者の相談窓口は拠点病院などが設けているが、相談件数が増え、内容も多様化している。就労関連などの相談への対応が不十分との指摘もあるという。

 一方、NPO法人など民間が運営する施設は、がんを経験した本人や家族が応対することもあり、より柔軟なサポートが期待できる面もあるとされる。こうした良さを踏まえた上で、連携して環境を整える必要がある。

 相談窓口の存在を知らない患者や家族も多いだろう。アクセスしやすい仕組みづくりも欠かせない。




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