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鹿児島の女児死亡 「虐待」の根、見極めねば(2019年9月5日配信『中国新聞』ー「社説」)

 鹿児島県出水(いずみ)市で4歳の女児が不審な死を遂げた。直接の死因は溺死だが、暴行によるとみられる傷が頭から下半身にかけて複数あったという。母の交際相手で同居していた男から虐待されていた疑いがある。

 虐待死などの悲劇が起きるたび、児童相談所や警察、自治体、保育園などの連携強化が叫ばれる。しかし教訓はどこまで生かされているのか。関係者には改めて自己点検を求めたい。

 忘れてはならぬ視点もある。そもそも虐待が起きないようにするため、どうすればいいか、である。虐待が起きてから、周囲の連携で再発を防ぐだけではなく、問題の根っこを見極める取り組みと言えようか。

 その一つが体罰である。今回の男は暴行容疑で逮捕されており、女児の頭を「しつけ」で殴った旨の供述をしている。逮捕前、友人に「うそをついたから、しつけのためにげんこつをした。暴力は振るっていない」と話していたという。

 とんでもない思い違いか、人権感覚の乏しい時代の発想ではないか。しつけの名の下で暴力が許されるはずはない。たとえ、親子であっても、だ。

 今年6月、親による子どもへの体罰禁止を明文化した改正児童虐待防止法が成立した。罰則はないとはいえ、児童虐待の理由をしつけと言い張るケースが後を絶たない現状を踏まえた措置で、当然だろう。

 関連して、必要な範囲で子どもを戒めることを親に認めている民法の懲戒権を削除すべきかどうかの論議も法務省の審議会で始まった。しつけを見直し、子どもへの暴力をなくすきっかけにせねばならない。

 貧困の問題も見過ごすわけにはいかない。児童虐待の背景にあるとも指摘されている。経済的な苦しさから心のゆとりを失い、子につらく当たる親は少なくない。そんな親に育てられた子が大人になって、わが子を虐待する連鎖も見られるという。虐待の根っこがそこにあるなら、断ち切る方策を考え、実行していく必要がある。

 子どもの貧困対策推進法も6月に改正された。子どもの今の生活を改善する施策にさらに力を入れ、住民に身近な市町村の役割も増した。学校や幼稚園・保育園などとの連携も一層求められよう。そのネットワークを、虐待の防止や早期発見にも生かすようにしたい。

 今回の事件でも、児相や自治体、警察などの連携不足が浮かび上がっている。

 女児と母親は以前、同県薩摩川内(せんだい)市に住んでいた。3~4月に計4回、夜中に女児が1人で外出し、警察に保護された。児相は母親の育児放棄を認定、「継続指導が必要」とした。しかしその後の対応は、子どもの安全確認を最優先する原則から不十分と言わざるを得ない。

 7月に出水市に移った後も、市内の病院が複数のあざを確認しているが、市は児相や県警には伝えていなかった。

 どこかで一歩踏み込んでいれば女児は救えたのではないか。綿密な経緯の検証による改善点のあぶり出しが欠かせない。

 全国の関係機関は、児童の命を守る責任の重さを再認識することが必要だ。政府としても、児相スタッフのさらなる拡充に加え、連携強化が図れる環境づくりを急がねばなるまい。





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