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[出水女児死亡] 幼い命守れなかったか(2019年9月5日配信『南日本新聞』ー「社説」)

 出水市で4歳女児が死亡し、母親の交際相手の男が暴行容疑で逮捕された。体には殴られたような傷が複数あり、虐待を受けていた可能性がある。

 女児は3月下旬から4回、夜間に1人で出歩いているところを警察に保護されていた。8月には顔などにあざがあると病院から市に連絡もあった。

 児童相談所や警察、市はそれぞれ虐待が疑われる情報を把握していた。にもかかわらず、最悪の事態になってしまった。

 なぜ幼い命を守れなかったのか。各機関が情報をどう判断し、対応したのか。徹底した検証が欠かせない。

 鹿児島県警によると、女児は風呂場で溺れたとされ、死因は溺死とみられる。同居中の男は頭を拳で殴ったことを認め、しつけだったという趣旨の供述をしている。

 虐待の情報は、母子が薩摩川内市に暮らしていた3月中旬、県中央児童相談所に寄せられた。児相と県警が母娘に面談したものの、目立った傷はなかったという。

 その後、4月初めまでに4回保護した県警は「一時保護」の必要性を書面や口頭で児相に伝えた。だが、児相は一時保護はせず、育児放棄(ネグレクト)として「継続指導」することを決めた。

 7月に母子が出水市に転居、情報は市に引き継がれた。だが、8月上旬に病院から女児の顔にあざがあるとの情報は、児相に伝えていなかった。

 市の担当者が母子と面談できたのは、連絡から3週間後、女児が死亡する2日前だった。男が同居していることは、児相も市も把握していなかった。

 保護するタイミングは何度かあった。だが、結果的に最優先すべき子どもの安全は守れなかった。各機関がもっと踏み込んだ調査を行い、早期に情報を共有できていれば、対応は違ったかもしれない。

 会見した児相所長は「自治体と適切に連携していればこういう事態にはならなかった」と連携不足を認めた。

 政府は、深刻化する児童虐待を受けて対策に力を入れる。親の体罰を禁じ、児相の体制強化を目指す改正児童虐待防止法などが成立、来年4月に施行される。2022年度までに児童福祉司を2000人余り増員する。

 ただ、18年度に児相が対応した相談は最多の15万9000件と、10年間で4倍近くに増えた。虐待の通告を受けた後、児相には原則48時間以内の安全確認を求められており、職員の負荷は高まっているのも確かである。

 厚生労働省は今回、職員を派遣し、関係者から事情を聴いている。児相対応はもちろんだが、悲劇を二度と繰り返さないためにも、課題となっている現場の体制や自治体との役割分担などの調査も求めたい。



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Author:gogotamu2019
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