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高齢者の乳がん手術は何歳まで? 合併症や術後の生活は(2019年9月8日配信『朝日新聞』)

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岩田広治・愛知県がんセンター乳腺科部長

 上皇后美智子さま(84)が比較的早期の乳がんと診断され、手術を受ける。乳がんになる女性の比率が高まるのは40代以降で、60代後半が最も多い。90代になっても40代前半と同程度だ。高齢で乳がんが見つかった女性はどのような治療を受ければいいのだろうか。高齢者の乳がんに詳しい愛知県がんセンターの岩田広治・乳腺科部長に聞いた。

 Q 80代~90代といった高齢の乳がん患者さんでも手術が一般的なのですか。

 A そうです。何歳でも、手術に耐えられる健康状態であれば、手術をするのが標準的な治療であり、第一選択肢になります。日本乳癌(にゅうがん)学会の診療ガイドラインでも、手術を勧めています。

 Q 手術に耐えられる健康状態というのはどのような状態ですか?

 A 手術は全身麻酔をかけて行うので、全身麻酔に耐えられる健康状態という意味です。心臓や呼吸器の重い病気を患っているなどして、全身の血液の循環や呼吸機能が悪いと、全身麻酔をかけるのが難しいかもしれません。麻酔科医が判断します。

 Q なぜ高齢者でも手術が標準的な治療なのでしょうか。

 A 治療を勧めるかどうかは治療を受けるメリットとデメリットのどちらが大きいかを科学的に比較して決めます。乳がんの手術は、手術の合併症というデメリットよりも、手術でがんを取り除くことによって健康な寿命が延びるというメリットの方がはるかに大きいのです。

 高齢者だからと治療をあきらめずに、ぜひ1度は乳がん専門医に相談してみて下さい。

 Q 手術の合併症は心配ないのでしょうか?

 A おなかの中にある内臓のがんの手術とは異なり、体表に近い乳房にできる乳がんの手術は、重い合併症はめったに起きません。切った部分に血や体液がたまる、傷口から感染症が起きるといった、乳房局所に限定される軽い合併症がほとんどです。高齢者にとっても負担はそれほど大きくありません。

 Q 高齢者の場合、乳房を全部摘出しない、乳房温存手術を行うのですか。

 A 若くても高齢でも年齢には関係なく、がんの大きさやできている場所などによって、乳房を温存しても再発リスクが高くならないと判断できるなら、乳房を温存する術式の手術をします。その方が身体への侵襲が少なく、患者さんの満足感も高いからです。

 Q 乳がんでは手術の後に、再発リスクを減らすためにホルモン剤や抗がん剤による治療を受けることがあります。高齢の場合はどうなるのでしょうか。

 A ホルモン剤が効くタイプの乳がんの患者さんは、年齢に関係なく術後のホルモン剤療法を行うことが多いです。ホルモン剤治療には、大きな副作用がほとんどないからです。

 Q 術後の抗がん剤治療はどうですか。

 抗がん剤が効くタイプの乳がんでも、高齢の場合は術後の抗がん剤治療を行わないこともあります。抗がん剤には、抜け毛や吐き気、白血球の減少など様々な副作用が起きる可能性があり、生活の質が低下してしまう恐れがあります。また、年をとるにつれ、腎臓や肝臓の働きが低下しているので、若い人よりも副作用が強く出る可能性もあります。

 苦しい思いをして余命を延ばすよりも、残された時間の生活の質を低下させないことの方が、ご本人にとってメリットが大きい場合もあると思います。ご本人の希望や体調なども複合的に考慮しながら、ご本人が納得できる治療方針を決めていくことが大切です。

 Q 高齢の乳がんでも十分に治療する方法があるということは、検診もきちんと受け、がんを見つけた方がいいということですね。

 A はい。もう年だからがん検診を受けないでいいと思わず、何年かに1度は乳がん検診も受けて下さい。




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