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鹿児島女児死亡 緊張感持って命の危機に対応(2019年9月10日配信『愛媛新聞』ー「社説」)

 今も虐待で命の危機にさらされている子どもがいるかもしれない。関係機関は、これ以上悲劇を繰り返さないという覚悟と緊張感を持って対応に当たらなければならない。

 鹿児島県出水市で4歳の大塚璃愛来ちゃんが死亡し、母親の交際相手の男が暴行容疑で逮捕された。

 母子については、同県薩摩川内市に在住していた3月、虐待が疑われる情報を県中央児童相談所が把握。その後、県警が1人で外出している璃愛来ちゃんを4回保護し、児相は母親の育児放棄(ネグレクト)を認定していた。7月に出水市で男と同居し始めてからは、市内の病院が璃愛来ちゃんの体に複数のあざを確認していた。

 救うチャンスは何度もあったと言わざるを得ない。東京都目黒区の船戸結愛ちゃんが亡くなった事件など、近年の虐待事件の教訓が生かされていないのは痛恨の極みだ。

 児相の対応には首をかしげる点が多い。薩摩川内市では、県警による璃愛来ちゃんの保護を踏まえ、4月に児童福祉法に基づく「要保護児童対策地域協議会(要対協)」が開かれた。市と県警は「早急に一時保護すべきだ」と児相に伝達し、児相は内部の会議で「次に県警が保護した際は一時保護する」と決めていた。

 しかし、その後県警による保護はなく、児相の一時保護には至らなかった。ネグレクトを認めた案件であり、4回も県警に保護されたにもかかわらず「次の保護」を待つ必要があったのか、疑問が拭えない。

 関係機関の「連携不足」も顕著だ。転居先の出水市では、要対協が開かれず、情報共有が不十分で迅速な対応につながらなかった。船戸結愛ちゃんの事件では、転居前の児相が2度にわたり一時保護していたが、転居先に緊急性が伝わっていなかった反省がある。自治体間の引き継ぎの重要性をもっと浸透させる必要があろう。

 また、出水市が児相に要対協の開催の必要性を伝えたとする一方、児相は「打診を受けた記録はない」と否定している。ほかにも、県警と児相の間で一時保護の要請時期などを巡って主張の食い違いが生じている。連携が円滑にできていない実態が露呈した格好だ。

 出水市も市内の病院から虐待の疑いの報告を受けながら、県警や児相に伝えていなかった。児相や自治体が母親の妊娠や交際相手の存在を認識しながら、容疑者との同居を把握していなかったことも分かっている。確実な連絡方法の確立など、再発防止策を急がねばならない。

 児童虐待への意識が高まり、通報や緊急の安全確認が増えたことから、対応する現場の人手不足は明らかだ。地域に細かく目配りする自治体の協力は重要度を増している。虐待の兆しや緊急性を見逃さないために、国は人材育成を強力に推し進める責務がある。




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