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患者情報を医療介護で共有、課題は 横浜で連携進む(2019年9月16日配信『朝日新聞』)

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サルビアねっとの中核病院となる済生会横浜市東部病院=2019年8月20日午後6時5分、横浜市鶴見区、斎藤博美撮影

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 「サルビアねっと協議会」の安部博事務局長

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済生会横浜市東部病院の三角隆彦院長

 横浜市鶴見区の医療機関などが情報通信技術(ICT)を使って患者の医療情報を区内で共有する「サルビアねっと」が3月、運営を開始した。病院、医科や歯科の診療所、薬局、介護施設などが患者情報を共有することで、救急時や災害時のメリットが多いとされるシステムで、横浜市は将来、市全体に広げることを目指し、県も検討を始めた。ただ、運営資金をどうするかなど今後の課題も多い。

 サルビアねっとには現在、済生会東部横浜病院を含む3病院、16医科診療所、7歯科診療所、26薬局、5訪問看護ステーション、5介護施設の計62施設が参加している。登録患者数は約7千人。9割は鶴見区民だが、他区民や川崎市民、都民もいる。参加施設が共有する情報は、診療履歴や検査データ、アレルギーなどのほか、薬剤処方記録、訪問介護記録なども。患者側にとっては二重検査や二重投薬を防ぐなどのメリットがある。

 「サルビアねっと協議会」の安部博事務局長は、今春までの4年間、岩手県の大船渡市や陸前高田市を含む気仙医療圏で、ICTによる医療・介護地域連携システムの構築、運営にあたっていた。東日本大震災で甚大な被害を受けたこの地域では、「行政が災害時でのシステムの重要性を実感しているので、支援が手厚い」と安部さん。救急車にもシステムが装備され、搬送先の病院とで迅速な情報交換が行われるなど救急時のメリットも実感できるという。

 一方、サルビアねっとについては、「始まったばかりで登録者はまだ鶴見区総人口の3%にも満たず、参加施設も増えないとなかなか利便性を実感できない。これからの広がりが大事です」と話す。

 サルビアねっとのきっかけは、団塊の世代が後期高齢者となる25年に向けて、横浜市が設置した研究会だ。市内の地域医療連携にICTを活用することを目的に2016年に発足。ICT専門家、病院関係者、医師会、行政などがこのシステムを横浜市でどう展開するかを話し合った。ここで議論された個人情報の取り扱いなどを参考に、市は詳しいガイドラインを作成した。モデルケースとして鶴見区が選ばれ、総務省と横浜市の補助金を得て、市内初のシステム、サルビアねっとが始まった。

 同ねっとの中核病院となる済生会横浜市東部病院の三角隆彦院長は、「ここまで行政が主体的に関わった都市型のシステムは珍しいのでは」と語る。特に都市型のシステムとして個人情報のセキュリティーをあげているのが特徴で、情報にアクセスできる職種を制限するなどしている。

 県も検討を始めている。構築会議を今春から進めてガイドラインを作成した。サルビアねっとのようなシステムを県内で新たに展開するための調整を進めている。

 ただ全国的にみるとICTを利用した地域医療連携は、継続が難しいのも実情のようだ。日本医師会総合政策研究機構によると、ICTによる地域医療連携は多額の補助金が投入された11年ごろから各地で急増した。同機構は12年度から調査を開始したが17年度までの5年間で継続できているのは約6割にとどまる。調査にあたった渡部愛研究員は「立ち上げには補助金が出るが運営資金には出ない。このため資金繰りに行き詰まるところも多いようだ」と指摘する。
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 サルビアねっとには区民でなくても登録できる。ただし、鶴見区内の医療機関などを使っている人でないと利便性はない。問い合わせはサルビアねっと協議会(070・4088・5653)へ。月曜から木曜の午前10時から午後4時。

資金、セキュリティーに課題

 サルビアねっと協議会代表理事で済生会横浜市東部病院の三角隆彦院長の話 サルビアねっとは「都市型」と位置づけている。この特徴は、セキュリティーを担保した運営であること。施設ごとに利用可能性のある職種を想定し、職種ごとに閲覧可能な情報の範囲を設定した。利用者の「ID」「パスワード」の入力を義務化するなど、情報に接するためのハードルをかなり上げている。

 ただ、ここをあまり厳しくすると、情報を共有する利便性がかなり限定されることになる。市の研究会でも個人情報を「保護」する観点と「有効に活用」する観点のバランスをどのようにとるかに議論を費やした。運営しながら考えていく部分でもある。

 また運営資金が足りないのも悩みのたねだ。立ち上げのときには国や横浜市から補助金が出たが、運営資金は出ない。今は病院など参加施設による月額利用料で運営しているが、十分とはいえない。登録患者や施設にメリットを感じてもらうようになるために、できれば再来年度末までに参加施設を100に、登録患者数を1万5千人ぐらいまでに増やしたいが、その資金がない。

 メリットを感じられるまでこのシステムを継続、拡大するための資金をどうするか、そして個人情報のセキュリティーを担保しながら、どうやって広げていくかが今後の課題だ。

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