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農福連携 相互理解深め、進展図れ(2019年9月22日配信『秋田魁新報』)

 障害のある人が農業現場で働く「農福連携」が注目されている。2018年度版農業白書は、新しい農業の動きとして最新技術を活用する「スマート農業」とともに農福連携を取り上げた。農業、福祉双方にメリットが期待される。農家、障害者らが互いに理解を深めながら、取り組みの輪を広げたい。

 農業就業人口は高齢化や後継者不足を背景に減少に歯止めがかからず、人手不足に陥っている。一方、障害者らは就労の場が少ないのが大きな悩みである。こうした課題の解決策の一つとして農福連携の機運が高まっている。

 農福連携の取り組みは全国で約5千件あると推計されている。農家が直接障害者を雇用したり、就労支援施設が農作業を受託したりするなど、その形態は多様である。

 障害者は全ての工程を1人でこなすのは難しいが、能力に応じた特定の作業ならば丁寧に仕上げられる。障害者が働きやすいように作業工程を細分化、標準化した結果、生産性と品質が向上した事例もある。障害者雇用が経営改善につながった好例であろう。

 農作業に携わった障害者は体力が付いて長時間働けるようになったり、表情が明るくなったりしたという。単に働く場の確保にとどまらない効果がみられている。

 農福連携という言葉が初めて使われたのは、障害者の農林水産分野への就労促進を目指し、10年に鳥取県が始めた事業とされる。以前から障害者が農業に従事することはあったが、県施策として実施されたことで、関心が高まった。

 本県では、仙北市の社会福祉法人が昨年から市内の農家でつくる団体と協定を結び、施設利用者が薬草栽培に従事。今年はさらに夏イチゴを生産する企業とも連携した。能代市内の農家では現在、障害者4人が特産の「白神ねぎ」の結束作業に取り組んでいる。

 しかし、その広がりはまだまだ限定的である。県が15年に実施した調査では、障害者を受け入れたことがない農業法人が8割を超えた半面、関心を持っているとの回答は1割台にとどまった。

 農福連携の認知度を上げるとともに、相互理解を進めることが急務である。国は今年6月に農林水産省、厚生労働省など関係省庁が農福連携等推進ビジョンをまとめた。県も農林水産部と健康福祉部にそれぞれ相談窓口を設けている。先行事例などを積極的に周知するとともに、農業、福祉の橋渡し役を務めるコーディネーターの育成も重要である。

 障害者に加え、高齢者や引きこもりの若者などが農業現場に集えば、コミュニティーの活力維持にもつながる。地域共生社会の実現を視野に、取り組みを加速させていくことが求められる。




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