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大川小訴訟確定 教育現場の責任自覚を(2019年10月13日配信『北国新聞』ー「社説」)

 東日本大震災による津波で多くの児童が犠牲になった宮城県石巻市立大川小の損害賠償訴訟は、市と県の過失を認めた二審判決通り最高裁で確定した。児童生徒の命を預かる教育現場と自治体に学校防災の重い責任を課すものであり、事前の防災対策に万全を期す必要があることを改めて銘記しなければならない。

 昨年4月に出された仙台高裁の二審判決は、専門家に劣らぬ知見で津波の到来を予見し、事前の防災対策として高水準の危機管理マニュアルを作成することを学校側に求め、全国の教育現場に波紋を広げた。

 大川小は、当時の市の津波ハザードマップで浸水予測区域に含まれず、逆に避難場所に指定されていた。ハザードマップは、県の専門部会が発表した津波の浸水区域予測に基づいて作成され、大川小のマニュアルは災害時の避難場所を「近隣の空き地や公園など」としていた。

 学校側の対応は県、市の情報に基づくもので、一審判決は、教職員による児童の避難誘導に過失があったと認定して市と県に賠償を命じた。しかし、二審判決は、子どもの安全のため、校長と市教委は地域住民よりはるかに高いレベルの災害の知識が必要であり、津波が近くを流れる河川を遡上して学校に至ることは十分予見できたと認定した上で、高台の避難場所をマニュアルに定めておくべきだったと結論づけた。

 最高裁もこの二審判決を受け入れ、専門家でも難しい津波の予見を校長らに求めるのは困難という市、県の訴えを退けた。ただ、その理由には言及しておらず、津波の予見可能性や学校、行政に求められる注意義務などについて、今後の基準や指針となるような見解も示さなかった。

 防災対策は、地域特性や各学校の立地環境などで異なり、学校や行政の裁量に委ねられる面もあるということであろうか。大川小訴訟の確定判決は、学校側の責任を厳しく追及した結果であるが、絶対的な安全を求めて、教育現場への要求が過大になることがないよう配慮する必要もあろう。




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