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[大川小津波訴訟] 学校防災 一層の強化を(2019年10月13日配信『南日本新聞』ー「社説」)

 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市立大川小の児童23人の遺族が、市と県に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁は市と県の上告を退ける決定をした。

 昨年4月の二審仙台高裁判決は、事前に子どもの安全を確保するための危機管理マニュアルを整備する義務を怠った過失を認めた。今回、計約14億3600万円の支払いを命じた判決が確定した。

 安全なはずの学校でなぜ多くの命が失われたのか-。遺族の問題提起に、最高裁は子どもの命を最優先して守ることを学校や行政に改めて求めたものといえよう。

 全国各地の教育現場は、責任の重さを肝に銘じるとともに、行政と一体となって防災対策の強化に取り組まなければならない。

 津波被害を巡り、震災前の防災体制の不備による賠償を命じた判決が最高裁で確定するのは初めてである。

 大川小の児童は2011年3月11日の地震発生後、校庭に避難。教職員が学校から約150メートル離れた標高約7メートルの堤防付近に誘導を始めた直後に津波が押し寄せ、児童74人と教職員10人が犠牲になった。

 当時の津波ハザードマップでは大川小は浸水区域外だった。だが、二審判決は具体的な避難場所を定めていなかったマニュアルの不備を認定した。その上で学校側が立地などの実情に応じて、独自の立場から危険性を検討する必要があったと指摘した。

 教職員による避難誘導の過失だけを認めた一審判決に対し、高裁は校長や市の組織的過失まで幅広く認めた。上告した市と県は、学校、行政に高いレベルでの対策を求めた最高裁の判断を真摯(しんし)に受け止める必要がある。

 大震災以降、各地の教育現場で危機管理マニュアル策定が進む。15年度の文部科学省調査によると、全国の小中高校の97%が作成し、津波浸水予想区域にある約5000校のうち91%が津波想定マニュアルを作っていた。

 ただ、災害に直面した際の対応は学校によってさまざまだ。避難場所や経路は適切か、マニュアルの点検が欠かせない。

 南海トラフ巨大地震が起きれば、鹿児島県内でも大きな被害が予想される。東串良町の柏原小学校は毎月1回、避難訓練を実施する。マニュアルの見直しに取り組み、教職員の習熟に力を入れている。

 スムーズな避難には徹底した平時の備えが重要だ。保護者や住民も含め、実践的な訓練を継続したい。

 台風や集中豪雨の自然災害が相次ぐ。行政は最新の知見で被害想定を行い、学校、地域との情報共有が求められる。国も現場任せにせず、安全管理に積極的に関わっていくべきだ。




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