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大川小の教訓 事前防災に力を注げ(2019年10月16日配信『東京新聞』-「社説」)

 東日本大震災の大津波で大川小(宮城県石巻市)の児童ら多数が犠牲になった。国家賠償訴訟では遺族側が勝訴した。事前防災の不備を認めた内容だ。全国の学校では早急に見直しが迫られよう。

 児童74人と教職員10人が死亡・行方不明になった惨事だった。児童23人の遺族が起こした訴訟は今月、最高裁が市と県の上告を退ける決定をした。そのため14億3000万円超の支払いを命じた仙台高裁判決が確定した。

 1審判決は津波発生後の学校側の対応に過失があったことを認めたが、2審は震災前の防災体制を問う「事前防災」について言及しているのが特徴だ。大川小の危機管理マニュアルについて、校長ら学校幹部は適切な改定作業を怠り、市教委は不備の見直しを指導する義務を怠った、その「組織的過失」を断じたのだ。

 ハザードマップでは大川小は津波の浸水想定区域の外にあった。そのため1審は「震災前の防災対策に過失がない」と判断した。だが、大川小の危機管理マニュアルは避難場所を「近隣の空き地・公園等」と記しただけだった。2審はまず、児童・生徒を守る学校には「地域住民の平均的な知識・経験よりも高いレベルの防災知識が求められる」ことを確認した。

 ならば避難場所も具体的に明示し、保護者への児童引き渡し手順など適切なマニュアルを示さねばならない。その責務もあった。そうすれば、津波警報の発令時点で高台に避難し、事故を回避し得た。そんな論理だ。

 学校現場には「専門家でない」「多忙ゆえに困難だ」という声があるかもしれない。だが、個人には限度を超えた大災害に、組織で立ち向かうのは自明の理だ。それゆえ、裁判所は児童の命を守る組織全体の在り方を問うている。

 現場教員の負担軽減を図りつつ、学校と行政側は常にハザードマップを検証し、改定せねばならない。行政側にはさらにハード面の整備などサポートが必要になる。子どもたちを預かる学校と行政が、その命を守るために最大限の努力を払うのは当然であろう。

 今回も台風19号で各地に大きな被害が出ている。首都直下や南海トラフなど巨大地震も予想される。学校施設は避難所などの役割が期待されている。大川小のように悲劇の場にもなりうる。それゆえ事前防災が極めて大切なのだ。実効性あるチェックを急ぎ、万一の備えを期さねばならない。




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