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愛媛県警の誤認逮捕 身内の検証、納得できぬ(2019年10月16日配信『中国新聞』ー「社説」)

 驚くほど、ずさんな捜査にあきれるしかない。

 愛媛県警が7月に窃盗事件で無実の女子大学生を誤認逮捕し、その一連の経緯を調査した結果を公表した。

 当たり前にすべき裏付け捜査を怠り、それをチェックする機能も欠如していたのが原因だったとし、本部長が謝罪した。

 一方で女子大学生を犯人と決め付けて自白を迫るような取り調べもしていたが、違法性はなかったと結論付けた。身に覚えのないことで逮捕され取り調べを受けることは、精神的な苦痛にとどまらず、その後の人生さえ変えてしまいかねない。

 尊厳を傷つける人権侵害である。身内に甘い検証結果ではないか。猛省を促すためにも、責任の所在をはっきりさせ、厳しい処分を行うべきだ。

 松山市内で1月、タクシーから男女4人の乗客が降りた際、車内から現金5万円余りが入った運転手のバッグが盗まれた。

 ドライブレコーダーに記録されていた映像などから、県警は7月になって女子大学生を逮捕した。だが、2日後に釈放され、不起訴となった。

 報告によると、県警は、捜査の初期段階から女子大学生が犯人の女に似ていると主観的に判断していた。顔画像鑑定などの結果を過大に評価し、同乗者の捜査もしていなかった。映像には犯人の財布や携帯電話も写っていた。女子大学生のものとは異なる矛盾点がありながら、裏付けを取っていなかった。

 思い込みに基づく、結論ありきの危うい捜査である。それを簡単に見逃すとは。あるまじき大失態と言わざるを得ない。いまだに身柄を拘束して自白に追い込む捜査手法がまかり通っていることを疑わせる。

 不起訴処分になったからといって、ずさんな捜査が許されるわけではない。

 防犯カメラやドライブレコーダーなどの映像は、事件を解決に導く有力な「武器」になっている。だが過信は禁物であろう。顔画像鑑定などの科学捜査にも限界があることを肝に銘じる必要があろう。自白を迫る手掛かりとして頼みにする体質を改める必要がある。

 旧態依然とした取り調べも見過ごすわけにはいかない。

 否認する女子大学生に、捜査員は「就職も決まっているなら大ごとにしたくないよね」「ごめんなさいすれば済む話」などと、人格を否定するような言葉を次から次へと浴びせていた。

 調査報告で、県警は「尊厳を著しく侵害し、不安を覚えさせかねない発言があった」と認めたにもかかわらず、自白の強要ではないとした。だが、就職を控えた大事な時期に、女子大学生が不安や恐怖を感じたであろうことは想像に難くない。

 女子大学生は一貫して無実を訴えていたが、「捜査する側は誰も聞いてくれなかった」とも訴えた。まさか被害が少額な微罪事件だから、少々の人権侵害は許されるとでも考えているのではないか。そんな体質が組織にあるとしたら許されまい。

 国家権力による身柄の拘束はより慎重でなくてはならないのは当然だ。このままうやむやにはできない。
 失われた信頼を回復するためには、県警を監督する県公安委員会や県議会も、真実を明らかにするよう努力すべきだ。




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Author:gogotamu2019
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