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【大川小津波訴訟】学校防災に覚悟求める(2019年10月16日配信『l高知新聞』ー「社説」)

 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市立大川小の児童23人の遺族が市と県に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁が行政側の上告を退ける決定をした。

 事前の防災体制の不備により、児童を安全な高台に避難させることができなかった過失を認め、計14億3千万円余りの支払いを命じた二審・仙台高裁の判決が確定した。

 想定外の非常時にも、教育現場や行政には子どもの命を守る責任があると改めて示したかたちだ。重く受け止めたい。

 大川小は、北上川から堤防で隔て約200メートルの場所にある。津波ハザードマップでは浸水予想区域に含まれておらず、周辺地区の津波避難場所になっていた。

 二審判決によると、地震発生後、児童は教員らの指導でまず、校庭に避難した。40分以上とどまった後、北上川近くの堤防付近に移動を始めた直後に津波が襲来し、児童74人と教職員10人が犠牲になった。

 校庭では「裏山に逃げよう」という声も上がっていたという。津波が迫っていることを知らせる市の広報車も学校前を通過していた。遺族が悔やんでも悔やみきれないのは当然だろう。

 一審の仙台地裁は過失を教職員の避難誘導にとどめたが、仙台高裁は校長らが事前に津波被害を予見することは十分可能だったと判断。ハザードマップの浸水予想区域は「区域外に津波が来襲する危険がないことを意味していない」とした。

 児童の安全確保のため校長らの災害への知識は「地域住民よりはるかに高いレベルでなければならない」とも指摘。避難マニュアルに避難の経路や方法の記載がなく、市教委が不備を指導しなかった点なども批判した。過失の範囲を広げ、責任を厳しく問うたことになる。

 判決後、教育関係者からは戸惑う声も相次いだが、最高裁はその判断を確定させた。裁判官5人の全員一致の結論だった。具体的な理由は示さなかったが、今後の学校防災に強い覚悟を求めたといえよう。

 全国の学校、行政への影響は必至だ。一方で、どこまで取り組むべきかなど課題は多い。津波の危険性や避難の環境は学校によってさまざまだ。最高裁も決定で、学校や行政に求められる注意義務の基準などは一切示さなかった。

 教育現場はそうでなくとも教員の多忙化が問題になっている。全てを現場に押し付けることなく、行政や専門家がしっかりとサポートすることが欠かせない。保護者や地域住民との論議も必要だろう。

 ハザードマップやマニュアルを超える災害に臨機応変に対処できる防災力も求められる。想定外の事態が起き得ることは、東日本大震災だけでなく、最近の風水害を見ても明らかだ。

 大川小の悲劇を繰り返してはならない。やるべきことは多いが、大切な子どもの命を守るため、気後れせず取り組んでいきたい。




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