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大川小判決確定 学校防災の強化をさらに(2019年10月18日配信『新潟日報』ー「社説」)

 子どもの命を最優先に、学校の防災対策をこれまで以上に強化する。犠牲になった児童や教職員に報いるためにも、そうした取り組みにさらに力を入れなければならない。

 東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市立大川小児童23人の遺族が市と県に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁が市と県の上告を退け、遺族側の勝訴が確定した。

 昨年4月の二審仙台高裁判決は、児童の安全を確保するための危機管理マニュアルを整備する義務を怠った過失を認め、約14億円の支払いを命じた。最高裁はこれを支持した。

 学校や行政の安全確保義務を厳しく捉えたものだ。教育現場には戸惑いの声もあるが、悲劇を二度と起こさないために判決を真摯(しんし)に受け止めたい。

 2011年3月11日の震災当日、激しい揺れの後、児童は教員らの指示で校庭に避難した。

 裏山に逃げようと訴えた児童もいたが、40分以上校庭にとどまった。それから北上川近くの堤防付近に移動を始めた直後に津波が襲来し、児童74人と教職員10人が命を落とした。

 二審判決は、学校側が危機管理マニュアルに適切な避難場所や経路を定めず、市教育委員会も不備を是正しなかったとして市や校長らの過失を認定し、組織的な責任に踏み込んだ。

 学校側は津波の予見性について、市のハザードマップで津波浸水予想区域から外れていたため不可能と主張した。しかし判決は、学校が北上川と約200メートルの距離にあることなどから「十分予見できた」とした。

 さらに児童の安全に関わるハザードマップについて、教職員は独自に信頼性を検討すべきだったとした。学校側の対応を批判し、「事前防災」の充実を厳しく求めたものだ。

 子どもの命を預かる学校が平時から災害への備えを徹底することは当然といえる。改めて重要性を胸に刻みたい。

 マニュアルをはじめ自らの災害への備えに抜かりはないか。再確認してほしい。

 地震だけでなく、近年は豪雨や台風が大規模化している。先週末も台風19号が東日本を襲い、大きな爪痕を残した。

 最高裁の判断については「現場にとって厳しい」との受け止めがある。教員が多忙な中で、防災に関する専門的な知識を学ぶことは難しいとの不安の声も出ている。

 学校だけに丸投げされるようなことがあってはならない。地域や行政の支え、積極的な連携が必要だ。危険箇所や避難場所など地元の事情に詳しい住民の協力があって初めて、防災力は強化される。

 家庭では親子が防災の大切さを話し合い、いざというときの心構えを育てることも防災意識の向上につながるだろう。

 被災して内部がむき出しになった大川小は震災遺構として整備されることになっている。

 悲劇を忘れることなく、私たち一人一人が災害への備えを徹底したい。





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