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大川小訴訟、賠償確定も「胸張って報告できない」(2019年10月11日配信『共同通信』)

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宮城県石巻市の大川小の被災校舎前で手を合わせる人たち

 東日本大震災の津波で児童74人、教職員10人が犠牲になった宮城県石巻市立大川小の児童23人の遺族が、市と県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は11日までに市と県の上告を退ける決定をした。10日付。防災体制の不備により児童を安全な高台に避難させることができなかった過失を認め、計約14億3600万円の支払いを命じた2審高裁判決が確定した。津波被害を巡り、震災前の防災体制の不備による賠償を命じた判決が最高裁で確定するのは初。裁判官5人の全員一致の結論だった。

    ◇  ◇  ◇

 まだ会えない娘を、判決が確定したこの日も捜していた。8年7カ月の月命日。大川小周辺を重機で掘削した土に目を凝らし、鈴木実穂さん(51)は小4だった長女巴那(はな)さん(当時9)の骨を見つけようと必死だった。

 緑と人々の笑顔あふれる幸せな地域だった。今は茶色だけの世界。小6だった長男堅登(けんと)くん(当時12)も失った。

 捜索合間の昼休憩。自家用車の中で一息ついていると同じ原告団の仲間から、最高裁上告棄却の一報が入った。「(14年3月の)提訴の時から最高裁まで戦う覚悟だったけど、判事の皆さんが分かってくれたのかな。でも私は巴那を捜さなくちゃいけない。冷静でいなきゃ」。

 車を出て大川小にある祭壇に向かい、手を合わせた。「巴那、出ておいでよ」。

原告団の今野浩行団長(57)は弁護士から一報を聞き、小6だった長男大輔くん(当時12)の祭壇に淡々と結果だけを報告した。

 「最高裁が『守れた命』と判断した。助かる命だったんだと。だから大輔はね、『なぜ僕は死ななければならなかったの』と思っていると思う。胸張って報告なんてできないよ」

 遺族としても長かった。「8年7カ月、苦しかった」。この判決で学校防災体制の一層の充実が急務となった。ただ、グラウンドに約50分間も待機し続け、裏山に逃げられなかった理由は分かっていない。今野団長は「原告団は解散するかもしれないが、真実を知るための検証は続けていくつもりです」と話した。




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