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命守る教育、学校から地域へ (2019年10月22日配信『日本経済新聞』―「社説」)

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大川小津波訴訟で勝訴判決が確定し、記者会見する遺族(11日、仙台市)=共同

 学校や行政が事前の防災対策を十分に尽くさず児童・生徒に犠牲が生じた場合、損害賠償の責めを負う。重い司法判断が示された。

 東日本大震災の津波で宮城県石巻市の大川小学校の児童らが犠牲になったことをめぐる訴訟で、最高裁は、震災前の学校と行政の防災への備えに過失があったと認定した二審判決を確定させた。

 市のハザードマップで大川小は津波の浸水想定区域外だった。しかし、校長らが学校の立地などを詳細に検討すれば津波被害を予見できたと判断した。あらゆる災害に万全の体制で備える責務が教育行政にある。多発する災害への対応に警鐘を鳴らした。

 対策のひとつとして宮城県や熊本県は、公立学校に災害時のマニュアルや避難計画などを策定する「防災主任」を配置した。自治会との合同訓練など地域ぐるみの防災を推進する役割も想定している。重要な視点だ。

 参考になるのは、学校教育を糸口に地域住民の防災意識の向上に努めた岩手県釜石市の実践だ。同市の危機管理アドバイザーを務めた防災の専門家は、親子や住民が参加する防災マップ作りや避難訓練を重ねた。大人の無関心に危機感を抱いたからだ。
 
 同市では、「3.11」の津波の際、学校にいた児童・生徒は全員無事だった。いわゆる「釜石の奇跡」である。子どもだけではなく、訓練に参加した住民の命を守ることにもつながった。こうした事実はもっと知られていい。

 東京都は首都直下型地震への備えを学ぶため、すべての児童・生徒に「防災ノート」を配布した。ノートには家庭での備えなどを記す欄がある。子どもから保護者へ、さらに高齢者の3世代を防災教育の対象とする試みだ。

 学校で防災対策を担う教員は、授業や部活の顧問など日常業務の負担も大きい。消防、自衛隊、警察OBなど災害対応の経験が豊富な人材を、避難計画の策定などに活用する支援策もあわせて検討してほしい。




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