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首相後手、政権に打撃 山際氏更迭で辞任ドミノ警戒(2022年10月24日配信『日本経済新聞』)

岸田文雄首相は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題の追及を受けていた山際大志郎経済財政・再生相を事実上、更迭した。山際氏が国会で追及された末に提出した辞表を受け入れる後手対応で政権への打撃となった。自民党は閣僚らの「辞任ドミノ」を警戒する。

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首相は24日の参院予算委員会で山際氏交代の可能性を聞かれ「全く考えていない」と否定していた。事態が動いたのは予算委が終了した同日夕。首相は党役員会を欠席し、山際氏は担当する経済財政諮問会議を中止して面会した。

首相は8月の内閣改造で山際氏を留任させた。前日までに教団との関係を公に認めていた閣僚7人は交代となった。山際氏が関係団体へ2013年に会費を払っていたなどの事実を明らかにしたのは改造当日で、そのまま留任した。

山際氏は経財相として物価高対策や新型コロナウイルス対策を担当していた。昨年の総裁選で首相を支援した甘利明氏に近いとの事情もあった。

野党が臨時国会で山際氏に質問を集中させることは予想されていた。自民党内にも交代論があったものの、首相は教団との過去の接点は問わない考えで更迭に慎重だった。「過去の説明をした上で、未来に向けて関係を断つのが重要」だと強調してきた。

過去の関係について追及されていた山際氏が辞任したことで閣僚らの「責任ライン」は曖昧になった。教団と接点があった自民党所属議員は山際氏以外にも多数いる。1人が辞めれば他の閣僚や党幹部にも責任問題が波及しかねない。

日本経済新聞社の世論調査で岸田内閣の9月の支持率は43%と8月から14ポイント低下した。主な要因は教団問題や安倍晋三元首相の国葬を巡る対応への不満だった。

教団に関する問題は宗教法人法に基づく調査や、その先の解散命令請求に焦点が移りつつある。山際氏を交代させても本質的な問題解決にはならず、国会での火種を取り除いたにすぎない。

政府は教団問題の被害者救済に関する法案を今国会に提出する。教団の調査も年内に着手する方針だ。予算委は11月にも開く見通しで、野党から対応の進捗状況を問われる。23年春に統一地方選を控えていることもあり政権内の危機感が強まっている。

山際氏の進退を巡る対応は首相が前面に立った。第2次以降の安倍政権では菅義偉官房長官が事前に段取りをつける場面が目立ったが、今回は他の政権幹部が動いた形跡が乏しい。

危機管理で首相の補佐役が十分に機能しない政権運営上の問題も浮き彫りになった。

竹中治堅・政策研究大学院大教授は「世論の期待以上に先手を打つのが危機管理だ。首相官邸のスタッフは自民党ともっと緊密に連携して対応すべきだったのではないか」と指摘した。

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