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[養育費不払い]立て替え制度の検討も(2019年10月28日配信『沖縄タイムス』-「社説」)

 たとえ夫婦が離婚しても、子どもの成長を支えていく責任は父親、母親の双方にある。養育費の支払いは親の義務であり、養育費を受けることは子どもの権利だ。

 離婚相手から養育費を受け取れないひとり親家庭が困窮するのを防ぐため、兵庫県明石市が、支払いに応じない相手に行政罰である過料を科す条例制定に動きだした。

 既に業務委託した保証会社が不払い分を立て替え、離婚相手に立て替え分を督促する制度を試験導入しており、養育費問題に一石を投じる取り組みに注目が集まる。

 明石市が検討しているのは、公正証書などで養育費の額が確定し、支払い能力があるのに滞納する離婚相手に対する過料だ。養育費不払いで過料を設ければ全国初。地方自治法に基づいて最大5万円を支払わせることができるという。

 離婚相手に過料が命じられたひとり親家庭には、過料と同額の「養育支援金」を支給して支援する。

 ほかにも不払い者の給料差し押さえや給料からの天引きを検討。氏名公表といった踏み込んだ対策も課題として挙がっている。 

 「踏み倒し」が横行し「逃げ得」が許されている状況を踏まえれば、条例の実効性を高める対策が欠かせない。

 ただ氏名公表については、プライバシー権の侵害や子どもへ与える影響など整理しなければならない問題も多い。当事者の意見に耳を傾けながら慎重に議論を進めてもらいたい。

■    ■

 厚生労働省の2016年度調査で、母子世帯の7割以上が離別した父親から子どもの養育費を受け取っていなかった。

 驚くことに、この数字はここ10年ほとんど変わっていない。

 不払いに対する法的措置が少なく、家庭内の問題として親のモラルに任せた結果、子どもに不利益が生じているのだ。

 日本の「子どもの貧困率」は13・9%と先進国の中では依然として高い水準だが、特にひとり親世帯は50・8%と深刻な状況にある。

 母子世帯の経済的困窮の背景に養育費不払いがあることはたびたび指摘されてきた。経済的困窮が子どもの進学や健康状態に影響を与えているというデータも見逃せない。

 養育費は子どものためのものであり、母子世帯の経済的自立にはその確保が重要となる。手をこまねいているわけにはいかない。

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 来年5月までに施行される改正民事執行法には、養育費不払いに歯止めをかけるため、裁判所が親の預貯金や勤務先を関係機関に照会する制度が盛り込まれている。

 しかし離婚時に養育費を取り決めている母子世帯が4割強にとどまっている現状を考えると、どこまで有効に機能するのか見極めが必要である。

 ヨーロッパなどでは国が養育費を立て替えたり、肩代わりする積極的支援が進む。

 日本も子どもの生活保障につながるルールを国の責任で確立すべきだ。




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