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萩生田文科相 格差容認は適格性欠く(2019年10月30日配信『北海道新聞』ー「社説」)

 萩生田光一文部科学相が、大学入学共通テストの英語で導入される民間検定試験に関し「身の丈に合わせて頑張って」と発言した。

 導入まで半年を切ったが、家庭の経済状況や居住地による機会格差の解消はなお見通せていない。

 その中で受験生の「身の丈」に言及すれば、不利な環境にあっても甘んじるよう迫ったと受け取られても仕方があるまい。

 教育基本法は教育機会の均等を掲げる。大学入試は受験生が共通のスタートラインに立つために、公平性を担保するのが大原則だ。

 基本を逸脱し、格差を容認するような発言をした萩生田氏は、教育行政の長として適格性を欠く。

 萩生田氏は陳謝して発言を撤回したが、民間試験導入は予定通りに行う考えを改めて強調した。

 間もなく受検用IDの申請が始まるが、ここに来て文科相の発言が混乱に拍車を掛けた。導入の延期も真剣に考えるべきだろう。

 対象の民間試験は英検など7種類で、志望先に応じて受検する。

 大学に提供されるのは高校3年で受けた最大2回分の成績だが、その他にも練習で受検したり、数種類を試して自分に有利なものを「本番」に選ぶことも可能だ。

 ただ、受検料が2万円を超すものもある上、会場は都市部が中心となる見込みだ。過疎地の広がる道内の受験生には負担が重い。

 こうした懸念に、萩生田氏は「『あいつ予備校に通ってずるい』というのと同じ」と言い放った。

 予備校は学力向上の手段だが、英語民間試験は入試の一部だ。同列に扱うとは不見識も甚だしい。

 萩生田氏は、就任直後にも「初年度は精密さを高めるための期間」と発言し、猛反発を受けた。

 これらの迷走ぶりは「民間試験ありき」の制度設計の不備をそのまま反映しているのではないか。

 文科省は、業者に会場増設や低所得世帯の受検料減免を求める一方、離島の受験生の交通費などを補助する支援策を来年度予算の概算要求に盛った。さらにきめ細かく対応を詰める必要がある。

 英語民間試験は、性格の違う複数の試験を入試に使うことへの疑問を押し切って導入が決まった。

 大学入試センターと業者の協定締結が遅れ、試験の詳細が出そろうのは来月にずれ込む見込みで、初年度は民間試験を利用しないと決めた大学が3分の1にも上る。

 野党が導入を延期する法案を提出する動きがある。発言を問うだけでなく、受験生の不利益を抑えるため手を尽くさねばならない。



身の丈発言(2019年10月30日配信『北海道新聞』ー「卓上四季」)

 「この家は戸締まりが悪すぎる」「お金があるんだから、街灯をつけた方が安全」「番犬を飼いなさい」。忍び込んだ家から金品を奪うだけでなく、いんぎんな言葉で家人に防犯の心得を説く。もっぱら富豪や名士の家を狙ったそうだ

▼昭和初期、東京を震撼(しんかん)させた「説教強盗」である。100件近い盗みを重ねた犯罪者という立場を棚に上げ、相手の不用心を懇々と諭す。例え話としては失礼だろうが、説教強盗の論法を連想してしまった

▼大学共通テストへの導入までに半年を切った英語民間試験の問題が尽きない。受験生の経済状況や居住地で不公平が生じる恐れがある。こうした批判に対し、制度の欠陥を棚上げして、萩生田光一文部科学相が「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」と述べ、結局、発言の撤回に追い込まれた

▼試験会場が都市部に偏れば、地方の受験生は相当に不利だ。裕福な家庭の子は、何度でも力試しができる

▼経済力や地域による教育格差の懸念について「予備校に通うのはずるいと言うのと同じ」という萩生田氏の認識にも驚かされる。教育の機会均等を保障すべき最高責任者が、格差を容認したとみられても仕方あるまい

▼そもそも大学を目指すのは夢や可能性を広げるためだ。そんな若者に「分相応」と説教を垂れる人である。文科相の職務に身の丈が足りているかどうか甚だ疑問と言わざるを得ない。





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