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迎合しやすい病院職員を物色して殺人事件に仕立てた2019年10月31日配信『デイリー東北』ー「時評」)

 滋賀県東近江市の病院で起きた患者死亡事件で、懲役12年が確定、服役した元看護助手(39)の再審無罪が確実となった。再審公判で検察側が新証拠による立証を断念したためだ。有罪確定から再審開始までの審理経過を検証すると、疑問を感じさせる捜査実態が浮かぶ。冤罪(えんざい)を生んだ捜査当局の責任は重大であり、重い教訓を残した。

 2003年、東近江市の湖東記念病院で入院中の患者が死亡しているのを看護師が発見。翌年、滋賀県警は患者の人工呼吸器を外して殺害したとして看護助手を殺人容疑で逮捕した。

 逮捕前の任意捜査段階で看護助手は「呼吸器のチューブを外した」と供述していた。解剖医の鑑定で死因は「(呼吸器が外され)酸素供給が途絶えたことによる急性心停止」とされ、自白調書とともに有罪の根拠となった。

 だが、再審請求で弁護側は司法解剖の血中カリウム濃度などから「死因は致死性の不整脈で自然死」とする医師の鑑定書を新証拠として提出。自白調書も捜査員の誘導で作成されたと主張した。

 再審請求審で大阪高裁は17年12月、新証拠などを検討し「自然死の可能性がある」と認定。自白についても重要部分に変遷があり「自分の体験を供述しているか疑わしい」と判断し、再審開始を認める決定をした。検察の特別抗告に対し最高裁もこの決定を支持した。再審が決まり、検察側は当初、解剖医らの証人尋問を申請していたが、このほど申請を撤回し、新たな証拠請求をしない方針を示した。

 検察側は従来の証拠に基づき有罪の主張自体は維持するとみられているが、自白調書を含めこれらの証拠は最高裁でも有罪証拠とならないと判断されており、再審公判では無罪しかありえない。つまり冤罪である。

 問題はなぜこのような捜査が行われたかである。元看護助手は、身の上話を親身に聞いてくれた捜査員に「うれしくて、舞い上がってしまった」と話している。好意を寄せて話すうちに捜査員に合わせて殺害を認める供述をしてしまったという。

 元看護助手は「人に迎合しやすい傾向があり、軽度の知的障害や発達障害がある」と精神科医から診断されている。
 自然死であるなら事件ではない。司法解剖データを冷静に見れば、慎重な捜査が必要だったはずだ。迎合しやすい病院職員を物色して殺人事件に仕立てたとすれば言語道断である。捜査当局は徹底的に内部検証をして問題点を洗い出すべきだ。




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