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ハンセン病補償 家族被害の回復に全力を2019年10月31日配信『徳島新聞』ー「社説」)

 ハンセン病の元患者だけでなく、家族も厳しい差別や偏見にさらされてきた。被害回復を急がなければならない。

 超党派の国会議員グループが、元患者家族を対象にした補償法案の基本方針を決定した。法案にまとめ、来月中にも臨時国会に提出する。

 元患者家族の被害を巡っては今年6月、熊本地裁が国の責任を認め、原告となった家族に賠償を命じる初の判決を下している。

 地裁は国の隔離政策により家族にも被害が生じたとし、隔離政策をやめなかったことや、差別・偏見を取り除く措置を取らなかったのは違法だと断じた。

 補償法案はこれを受けたもので、基本方針は精神的苦痛の慰謝料として、補償法施行時に生存している元患者の親子や配偶者、同居していた子の配偶者ら1親等の姻族に180万円を支給するとした。

 さらに、元患者のきょうだいや同居のおい、めい、孫、配偶者のきょうだいなど2親等の姻族や3親等内の血族に130万円を支給することも定めた。

 地裁判決は親子や配偶者、きょうだいにしか賠償を認めなかったが、それより対象を広げたのは評価できよう。

 補償額も、親族関係に応じて1人当たり30万~130万円とした判決より増やした。しかし、訴訟で原告側が求めたのは1人当たり550万円で、隔たりは大きい。

 それでも、補償内容を政府と協議してきた原告らは、決裂を避けるために譲歩した。原告団長の林力さん(95)は「国がこれで罪を償ったと合点する人はいない」と述べている。

 就学や就労拒否、村八分、結婚差別、一家離散と、家族らは苦難の人生を余儀なくされてきた。父が隔離された林さんも、母と共に名前を変えて逃避生活をし、差別に耐えて生きてきたという。

 基本方針が示した額は、過酷な「人生被害」に見合うのかどうか。国は苦渋の判断で受け入れた家族らの思いを受け止め、増額を検討してもらいたい。

 補償の対象になっても、元患者の家族であることを知られるのを恐れ、名乗り出られない人が多数に上るとの懸念もある。実際、熊本地裁の訴訟では原告561人のうち、名前を出して裁判に臨んだのは数人しかいなかった。

 被害の補償と並んで、原告らが差別・偏見の解消を強く訴えたのは、そうした現状があるためだ。

 隔離政策を違憲と認めた2001年の熊本地裁判決以降、国は啓発活動を進めてきたものの、取り組みは不十分だったと言わざるを得ない。

 安倍晋三首相は今年7月、家族らと面会し、謝罪した際、差別や偏見の根絶に努めると約束した。

 苦難を強いた国が全力を尽くすのは当然である。同時に私たち国民も、差別意識の克服に重い責任を負っていることを忘れてはならない。




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