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養育費不払い 行政関与の議論進めたい(2019年11月5日配信『山陽新聞』ー「社説」)

 離婚して子どもと別居した親の養育費不払い問題で、一部の自治体が対策に乗りだした。養育費を受け取れず、困窮するひとり親世帯を支援するためだ。海外では養育費の確保に国が積極的に関与する例もある。先行する自治体の取り組みを踏まえつつ、行政関与のあり方について議論を進めたい。

 兵庫県明石市は不払いに対し行政罰である過料を科す条例制定に動きだした。不払いが発生していると申し立てを受けると市が離婚相手に支払いを勧告し、応じなければ書面で命令を出す。従わない場合は過料に加え、罰則として氏名公表も検討する。弁護士らを交えて詳細を詰め、来年4月の施行を目指すという。

 同市はこれまでも離婚に絡む子育て支援を積極的に進めてきたことで知られる。昨年11月からは不払いとなった養育費の一部を市が補填(ほてん)する事業を試験導入した。市が業務委託した民間の保証会社とひとり親世帯が契約を結び、養育費が不払いでも月に最大5万円がひとり親世帯に払われる。契約に必要な保証料は市が負担し、保証会社が離婚相手からの債権回収を担う。

 保証会社を使った同様の事業は本年度から大阪市や滋賀県湖南市も導入している。

 養育費を支払うのは男性とは限らないが、不払いで被害を受けているのは母子世帯が圧倒的に多い。母子世帯の平均年収は父子世帯の半分というデータもある。子どもの貧困は特に母子世帯で深刻だ。全国の自治体が抱える課題であり、先行自治体の成果が注目される。

 厚生労働省の2016年度調査では、母子世帯の7割以上が離婚相手から養育費を受け取っていなかった。離婚時に約束しても、次第に支払われなくなるケースが少なくないようだ。法的な手続きを踏めば回収は可能だが、そうした手続きに割く時間や金銭的な余裕もないというのが実情だろう。離婚原因が暴力で、離婚相手とかかわりたくないという場合もある。

 国も対策に着手し、今年5月に成立した改正民事執行法では、不払いに歯止めをかけようと裁判所が離婚相手の預貯金や勤務先を関係機関に照会する仕組みも盛り込まれた。従来より回収しやすくなることが期待されるが、これで十分とは言えまい。

 海外に目を向けると、ドイツでは別居する親から養育費が支払われない場合、連邦や州の政府が立て替えた上で別居の親に請求する。米国では不払いに対し、運転免許の停止や旅券の発行拒否などの措置も取られる。フランスでは税金の徴収官が取り立てる制度があるという。

 離婚しても子どもの成長のための費用を負担するのは親の責任だ。優先されるべきは子どもの最善の利益である。国が子どもの貧困対策を推進するなら、必要な養育費がきちんと子どもの元に届くよう制度を整える必要がある。




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