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[障害者と議会] 当事者の声生かしたい(2019年11月10日配信『南日本新聞』ー「社説」)

 重い障害があるれいわ新選組の木村英子、舩後靖彦両参院議員が初めての国会質問に臨んだ。

 生活全般に介護を要する重度障害者による国会質疑は憲政史上初という。

 障害があっても当たり前に暮らせる社会を実現するため、当事者が国政に直接訴えたのは画期的だ。2人の声をしっかり受け止め、社会全体でさまざまなバリアーの解消を急ぎたい。

 体のほとんどを動かせない木村氏は、5日の参院国土交通委員会に介助者に付き添われ、車いすで出席。質問を書いた紙を示されながら、災害避難所での障害者への配慮不足や「多機能トイレ」に一般の利用者が増えて必要とする障害者が使えない現状など、自らの体験を基に訴えた。

 車いす生活で、人工呼吸器を付けているために声が出せない舩後氏は7日の文教科学委員会で、パソコン音声や介助者の代読で質問。「障害者の現実を知らないために偏見や差別につながっている」とし、障害のある子どもと、ない子どもが同じ場所で学ぶインクルーシブ教育の推進を主張した。

 いずれの委員会でも与野党を問わず出席議員たちはじっと見守った。「いろいろな立場の方が議員になって発言するのは素晴らしい」「これまでの国会の常識は世間では通用しないと感じた」などの声が聞かれ、大きなインパクトを与えたようだ。

 7月の選挙で両氏が当選したことを受け、参院では大型車いすが使えるように本会議場の議席を改修したほか、介助者の付き添いや押しボタン式投票装置も設置して介助者が代理で押すことを認めた。慌ただしく対応が進んだのは、そもそも重度障害者を想定していなかったからにほかならない。

 文教科学委では、舩後氏が再質問用の代読文書を作成する間、委員長が議事進行を止めて質問時間が減らないよう配慮し、約20分の中断が生じた。舩後氏は「ご迷惑をお掛けした」と今後の課題としたが、これを「時間の無駄」と考えてはなるまい。障害者差別解消法は、障害者にほかの人と平等な機会を保障できるように環境を整える「合理的配慮」を国や自治体に義務付けている。障害のある議員の発言権を確保するための配慮は欠かせない。

 鹿児島県議会では今春の選挙で、車いすが必要な安楽英美氏が初めて議席を得た。議場の座席やトイレの改修などバリアフリー化が図られた一方、安楽氏が議員活動を進める中で、公務中の介助費の負担などさまざまな問題も浮上している。

 問われるのは、健常者中心に回ってきた日本社会の在り方である。障害があっても普通に暮らせるよう当事者の訴えに真剣に耳を傾け、社会参加の妨げとなるバリアーを一つ一つ除去していくことが重要である。




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