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がん治療で脱毛、患者の心もケア 乳がん経験の美容師(2019年11月11日配信『朝日新聞』)

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使う人に合わせて医療用ウィッグを調整する田尻美智子さん=2019年9月24日午後0時8分、神奈川県平塚市明石町

 神奈川県平塚市の美容師田尻美智子さん(54)は、乳がんを患い、つらい治療を受けた経験を生かして、脱毛などに悩むがん患者の髪のケアに当たっている。治療中もできるだけ普段と変わらない生活をしてほしいと、医療用ウィッグ(かつら)の相談・調整から髪が元に戻るまで寄り添う。7年間で、100人近いがん患者の髪と心を支えてきた。

 田尻さんは、夫の敏信さんと同市明石町で美容室「T&T」を経営する。胸のしこりに気付いたのは2011年2月。市内の病院で検査したところ、乳がんと診断され、リンパへの転移も判明した。

 抗がん剤治療の開始に当たり、「髪が抜けるので医療用ウィッグを用意してください」と医師に言われ、市販のウィッグを購入した。投与から2週間で髪が抜け始め、さらに1週間ほどするとほとんどなくなった。購入したウィッグはフィットせず、不自然に見えた。

 ショックと不安が増す中で、平塚共済病院の「乳がん体験者コーディネーター」の吉田久美さんに出会った。同じ病気の患者の悩みを聞いたり情報提供したりする仕事を担い、がん患者のために活動する「ガーゼ帽子を縫う会」の代表でもある。

 吉田さんは田尻さんに声をかけた。「元気になったら、患者さんの髪のケアをして、私たちの活動を手伝ってほしい」

 田尻さんの場合は、切除手術の前に抗がん剤でがんを小さくする必要があり、まだ治療の入り口だった。吉田さんはあえて治療後の「役割」を頼んだという。

 田尻さんは「告知後は、検査と治療のレールに載せられているようで、頭は真っ白。吉田さんに声をかけられて、前を向けるようになった」と振り返る。

 手術前後の入院期間以外は、仕事をしながら再度の抗がん剤、放射線、ホルモン剤といった長い治療を乗り越えた。自毛が次第に戻り、12年春にウィッグをはずした。

 そのころから、がんと闘病中の女性の相談を受け始めた。美容師やネイリストらでつくる「ikus(いくす).医療美容ケア研究会」に入り、医療用ウィッグの扱いや自毛のケア技術を学んだ。

 病院が提供する情報や店のブログで、美容室を知った女性が訪れるようになった。田尻さんはウィッグを患者の希望に合わせてカットし、形を整える。毛が生えてきても、縮れたり伸びが遅かったりして、元の髪に戻るには時間がかかる。不安を抱える女性たちに見通しを伝えながら髪のケアをしている。

 田尻さんは「同じ病を経験した吉田さんとお話しして勇気をもらった。私も、気持ちが分かってもらえる美容師さん、と思っていただけるように努力していきたい」と話す。

 希望があれば他の客がいない営業時間外の予約も受け付けている。問い合わせは美容室T&T(0463・23・6177)。




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