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重度障害の2氏初質問 真の共生社会実現へ大きな一歩(2019年11月12日配信『愛媛新聞』ー「社説」)

 国会が、社会が、真の共生へと踏み出す大きな一歩となることを期待したい。

 重い障害があるれいわ新選組の木村英子、舩後靖彦両参院議員が国会で初の質疑に臨んだ。障害のため車いすと介助者が必要な議員による質疑は初めてだという。両氏の当選以降、国会では大型車いすを利用できるように本会議場の議席を改修したり、正副議長の記名投票で代筆を認めたりと、バリアフリー化が進展した。さらに今回の質問で、障害の当事者自らが実情や課題を訴えた意義は大きい。国の障害者施策が実態に合ったものに成熟する可能性も高まる。

 ただ、終了後舩後氏は「(質問時間が)超過し、委員の皆さまにご迷惑をお掛けした」と反省した。言葉を発することができない舩後氏は文字盤を使って視線で質問内容を介助者に伝達しており、時間短縮を改善点に上げた。5時間の委員会に出席し、30分間自らの声で質問した木村氏は、体力的な厳しさを漏らした。今後、どのような配慮や環境整備ができるのか、与野党で検討し可能な範囲で対応すべきだ。両氏の国政参加は、多様な人々の集まりである社会の姿を国会に反映させた。それには、国民と政治との距離を近づける効果があると認識してもらいたい。

 木村氏と舩後氏は今夏の参院選で初当選した。脳性まひにより、体がほとんど動かせない木村氏は、車いすで国土交通委員会に出席。秘書らの介助を受けながら「障害者が地域で生活するにはさまざまなバリアーがある」と説明し、障害者差別解消法の理念実現を訴えた。

 また、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者である舩後氏は、文教科学委員会で「障害者の現実を知らないために偏見や差別につながっている」と指摘。障害がある子どもと、ない子どもが同じ場所で学ぶ「インクルーシブ教育」推進を主張した。当事者ならではの視点で、社会の意識改革や社会参加のための仕組みの整備を求めたことは意義深い。両氏の姿は、障害がある人たちの社会参加や自立への励みにもなっただろう。

 木村、舩後氏の要望に応じ、パソコンなどを通じた音声による発言や、介助者や公設秘書による代読を認めたことは評価したい。障害者差別解消法は、本人の意向を尊重しながら、費用や人手がかかりすぎない範囲で障害者に平等な機会を保障する「合理的配慮」を求めており、その趣旨にも沿うものだ。

 一方で両氏は、議員活動中を「経済活動」と見なして介助費を公的補助の対象外とする現行制度の改善を求めている。当面は参院が費用を負担するが弥縫(びほう)策でしかない。安倍政権が「1億総活躍社会」を掲げる中、仕事を持つことを禁ずるような制度は矛盾しており、早急な改善が不可欠だ。両氏の国政進出により、障害者に対する社会の意識は変わり始めている。その流れをせき止めてはならない。




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